導入事例デジタルツールによるポートフォリオ提案
富裕層向けアドバイザリー型ビジネスを後押し

三菱UFJモルガン・スタンレー証券
ウェルス&ミドルマーケット本部

執行役員
伊藤英十氏

ご利用中の製品
QUICK Asset Design NAVI

富裕層向けのアドバイザリー型ビジネスを展開する三菱UFJモルガン・スタンレー証券(以下、MUMSS)は、ポートフォリオ提案の本格導入にあたり、ポートフォリオ分析・提案ツール「AstraC」を2011年に導入し、19年に全面刷新しました。収益目標を撤廃し、従来型の営業スタイルからの脱却を図る同社ウェルネス&ミドルマーケット本部執行役員の伊藤英十氏に、ポートフォリオ提案においてデジタルツールが果たす役割、今後の富裕層向けビジネスの展望などについて伺いました。

導入の効果とポイント

  • 運用アドバイスとデジタルの融合を推進
  • リスク・リターンをビジュアルで提示
  • ウェルスマネジメントビジネス本格化へ布石

Q.MUMSSが展開している富裕層向けサービスとはどのようなものでしょうか。

当社は3年ほど前から、対面部門を中心に、富裕層にターゲットを絞ったウェルスマネジメントビジネス(以下、WMビジネス)へ大きく舵を切りました。米国などと比べても成長余力がまだまだある分野ですし、(両親会社である)三菱UFJフィナンシャル・グループの顧客基盤とブランド、世界トップレベルのWMハウスである米国モルガン・スタンレーのノウハウを活かしてポジショニングを取っていける分野だと思います。

WMビジネスを推進するにあたって必要になったのが、お客さまの資産運用を最適化するためのバリューチェーンを確立することでした。まずはしっかりとしたリサーチ部門の分析に基づいて、社としてのオフィシャルなハウスビュー(投資戦略)を明確にする。さらにハウスビューに基くモデルポートフォリオを作り、そこに組み込む適切な商品・サービスを準備、提案する。アフターフォローも含めた一連の流れ、バリューチェーンをしっかり作ることが不可欠だったのです。

それはすなわち、従来のノルマ型営業や担当者の経験に基づく営業スタイルではなく、お客さまの資産全体をしっかりと把握した上で、リスクオリエンテッドなポートフォリオ提案を行うという「アドバイザリー型ビジネス」への転換でした。

そのために、まず収益目標、販売額目標を撤廃し、信頼の証である預かり資産や投資パフォーマンス、お客さまからの評価を組み入れた新しい評価体系を導入しました。ここで絶対的に必要になったのが、運用アドバイスとデジタルの融合です。私たちが目指すポートフォリオ提案は、お客さまにご自身の許容できるリスクのレンジや期待リターンをきちんと認識いただいた上で、ゴールを共有し、そのリスクの中で最適なリターンが得られるポートフォリオを提案するというスタイルであり、従来のアナログ型では実現できません。

Q.アドバイザリー型ビジネスへの転換に当たって、AstraCはどのような役割を果たしましたか。

リスクとリターンを定量的に的確に示せるツールが必要と判断し、19年末からAstraCの全面リニューアルをお願いしました。リスクとリターンをビジュアルで示し、プロファイリングから販売に至るまでシステム通りに一貫してやっていけば、お客さまに正しいアプローチ、ご提案ができるシステムの構築です。

富裕層向けのWMサービスは、商品単品で決まるものでもなく、先ほど説明した資産運用のバリューチェーンの中で、お客さまの資産状況やリスク許容度に合った最適なポートフォリオを提案、分析し、ゴールに向けた運用方針を見直すという流れが必要です。そうした一連のサービスの提供を、アドバイザー全員が高い水準で実現することを可能とするコアツールとしてAstraCを活用しています。

ポートフォリオ提案の際は必ずAstraCを利用しています。担当者に対し、「デジタルを使わないポートフォリオ提案は無免許運転」と言い続けてきた結果、ようやく定着してきました。銀行や他社にある資産も含め、お客さまの資産の全体像を把握することで初めて成り立つのがポートフォリオ提案活動であり、アドバイザリー型ビジネスです。詳細なプロファイリングをベースに、デジタルを駆使してリスクとリターンを分析することが不可欠なのです。

アドバイザリー型ビジネスの実現にはデジタルツールの活用が欠かせないという意識が徐々にアドバイザーに根付き、AstraCの利用も定着してきました。AstraCはビジュアルに優れていますし、私たちのオーダー通りにスピーディーにカスタマイズしていただき、アドバイザーやお客さまにとって使いやすいものになりました。さらにオンラインサービスにAstraCを組み込むことで、スマートフォンでも見ることができ、他社と差別化できるシステムになっています。

Q.今後のアドバイザリー型ビジネスの展望をお聞かせください。

私たちのアドバイザリー型ビジネスはシンプルに言うと、「お客さまのことをよく知ってコンサルティングをする」ということです。資産運用が基軸にはなりますが、ファイナンスの要請があれば銀行に連携しますし、遺言・不動産のニーズがあれば信託に連携します。反対に、グループ会社は資産運用ニーズがあれば証券に連携します。このようにグループ力を活かしたシームレスな活動を目指しています。

デジタルツールを使ったポートフォリオ提案には、お客さまからもポジティブなご意見をいただいています。お客さまのニーズは間違いなくありますし、世界的にもWMというビジネスは一人のアドバイザーがお客さまを長期間担当するというスタイルがベースになっています。その分、提案力の質が問われます。いずれ日本でもより本格化してくるでしょうから、そうした時代への布石という観点からも、AstraCのようなデジタルツールを使ったサービスが求められていると思います。

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