導入事例全国初のAI知事「デジヒロシ」誕生
動画で県内外へ毎日情報発信

石川県 戦略広報監

中塚健也氏

この事例の製品
QUICK Smart Brain

石川県は、生成AIを利用したQUICKの新サービス「QUICK Smart Brain」を導入し、馳浩知事の画像を使った全国初のAI知事「デジヒロシ」が、石川県の情報を毎日発信しています。広報部門のトップ、戦略広報監の中塚健也氏に、新たな広報ツールとして「QUICK Smart Brain」を採用した理由、動画による情報発信への取り組み、地方自治体としての広報への展望などを伺いました。

導入の効果とポイント

  • デジタルメディアの活用で情報発信力を強化
  • 動画作成から出力までがワンストップで可能
  • デジヒロシを関係人口拡大の糸口に

Q.戦略広報監として、県の広報にどのように取り組んでいますか。

馳浩知事の広報機能を強化したいという意向から、広報部門を知事室直属の戦略広報課として2023年4月に新設しました。それに先駆け、広報のヘッドとして戦略広報監というポジションが2月から公募されました。私は石川県出身で、NTTで34年間広報を中心に働いてきましたので、そうした経験をふるさとのために活かせるご縁が巡ってきたのではないかと思い応募し、5月に着任しました。

戦略広報課の狙いの一つは情報発信力の強化です。地方競争の時代がすでに始まっており、従来の広報が主に軸足を置いていた県民への発信だけでなく、国内外に情報発信して、石川県のブランド価値を高めていくという狙いがあります。県民への発信に関しても、新聞やテレビなどの従来型メディアだけでなく、特に若い世代への発信を意識したデジタルメディアを重視しています。これまでもX(旧ツイッター)やインスタグラム、LINEなどの活用を進めていましたが、ターゲットをより意識した情報発信に力を入れています。

Q.デジヒロシ誕生の経緯を教えてください。

生成AIを使って毎日情報発信をするという試みはどこの自治体でもやっていませんので、ぜひ全国初の取り組みとして進めたいと考えました。6月に県議会で予算が承認され、その後プロポーザルを経て「QUICK Smart Brain」の導入が決定しました。

選ばれた理由の一つは「デジヒロシ」という発信方法です。馳知事は知名度が非常に高く、 プロレスラー、国語教師、国会議員、大臣、オリンピアンという多様な経験を持っています。そうした要素を活かす提案としてデジヒロシは魅力的でした。

もう一つは、より効果的に発信するための日々の「QUICK Smart Brain」の充実度です。例えばXで日々何が話題になっているかを分析する方法まで提案があった点は高い評価になったと思います。発信するものと分析するもの、広報と広聴の両方がバランスよく提案されていたと思います。

実際使ってみると、1つの操作画面で動画作成から出力までが完結できます。これまでは動画作成というとお金も時間もかかるというイメージでしたが、安定したクオリティーの動画を簡単にアップできる効果は大きいと思います。顔や唇が音声に合わせて滑らかに動くので、同じ原稿でも、静止画に比べてインパクトがあります。

導入初期はニュースリリースなど固いメッセージが多かったのですが、それでは面白くないという声もあり、少しずつデジヒロシとしてのキャラクターを出していこうと試行錯誤しているところです。例えば、誰かが石川県に関係することをXで発信してくださった際には、それについてコメントしたり、何かに応援メッセージを送ったり、いろいろな人に向けたアクションもしています。

駐日ジョージア大使のXへの投稿を引用して、ジョージア語でデジヒロシがつぶやいた時には、表示回数が10万回を超えました。外国語にも対応し、文章も書けますので、コミュニケーションがすぐにできるわけです。「面白いね」と言ってくれる方もいますが、正直「よく分からないな」という方もいますので、まずは興味をもっていただける発信をして、もっとフォロワー数を増やしていきたいと思います。

週末のイベントに馳知事本人が行けない場合、デジヒロシに代わりに来て欲しいという要望も出てきています。サッカースタジアムの大型ビジョンで、J2の試合前に応援メッセージを送ったり、小松空港に韓国からのチャーター便が来た際にはスクリーン内のデジヒロシが韓国語で迎えたりということもしました。

Xには石川県の公式アカウントもありますが、デジヒロシという、公式とは少し性格が違うメディアを持てた点にも意味があると思います。デジヒロシは、公式よりもフレンドリーに石川県の今を楽しくわかりやすく伝えるメディアとして位置付けています。石川県の広報の目的として、関係人口の拡大を掲げていますが、そのための重要なツールの一つと考えています。デジヒロシという面白そうなことをやっているからちょっと見てみよう、フォローしてみようなど、まずはデジヒロシにアクセスして、そこから石川県の情報を取ってもらう、そういう存在を目指しています。

我々も、デジヒロシを通して、石川に対して興味を持ってもらうためにはこういう情報発信の方法もあるのかという新たな発見が日々あり、広報としてチャレンジするツールの一つにもなっていると思います。

Q.デジヒロシを含め、今後の広報戦略の展望をお聞かせください。

今回、知事をキャラクター化して、しかも別人格にしたという設定が良かったなと思います。あくまで別人格なので知事本人とは違うチャンネルになっていますが、どういうキャラクターに育てていくかというのは正直難しいです。デジヒロシには、スーツ姿や防災服姿もあれば、エプロン姿や黄色のTシャツもあります。最初はTシャツひとつ着せるのにも悩みました。しかし、県庁内外からの反応やXでのインプレッションを見て、デジヒロシにアクセスしてくださる皆さんに教えてもらいながら一緒に育てていくものだと感じています。

今後、JR金沢駅コンコースのデジタルサイネージにデジヒロシが登場する企画も予定しています。県内での認知度もまだまだだと思いますので、若い世代の認知度調査などで、届けたい層に届いているかの検証も行いたいと考えています。

富山県が「アバター職員」を採用したり、佐賀県では島耕作が副知事に就任したり、キャラクターを使った情報発信への取り組みがいろいろな自治体で始まっています。そうしたキャラクター同士のコラボレーションで、新たな発信ができれば面白いなと思っています。先日、富山、福井、石川3県の知事が連携について協議する場があったのですが、広報分野についても、それぞれの持っているメディアやキャラクターを使ったコラボを進めようということで一致しています。北陸三県が連携して、面白い情報発信ができるよう、今後具体的に企画を一緒に考えていきたいです。

取材日2023年12月4日

X(AI石川県知事 デジヒロシ)

戦略広報課の皆様
戦略広報監 中塚健也氏、 岡田志保氏、 課長 素都明子氏、 川通翔氏
※写真右から

 

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