導入事例コンセンサスの把握がファンダメンタルズ分析の肝
企業の定性評価とESG情報の融合目指す

大和アセットマネジメント 寺島正氏

大和アセットマネジメント

アクティブ運用第二部企業調査チーム
兼 責任投資部ESG・企業リサーチ課長
寺島正氏

ご利用中の製品
QUICK Workstation

大和アセットマネジメント株式会社は、情報端末サービス「QUICK Workstation(Astra Managerパッケージ)」を導入しています。国内外のマーケットのリアルデータや投資分析に必要な時系列データを取得できるとともに、データを使ったファンダメンタルズ分析なども行えるサポートサービスです。アクティブ運用第二部兼責任投資部でチーフ・アナリストを務める寺島正氏に、ファンダメンタルズ分析での活用方法や効果、ESG(環境・社会・企業統治)リサーチに関する課題、今後の展望などをうかがいました。

導入の効果とポイント

  • 財務データやリアルタイムデータからコンセンサスを把握
  • 使い勝手の良いフォーマットが揃う株式分析機能
  • 需要が高まるESG関連データ収集に期待

Q.現在携わっている業務についてお話しください。

アクティブ運用第二部と責任投資部を兼務しています。メインのアクティブ運用第二部は日本株のアクティブ運用を行なっている部署で、その中の企業調査チームのアナリストとして、個別銘柄のいわゆるファンダメンタルズ分析を受け持っています。また、責任投資部ではスチュワードシップ活動やESGリサーチなどを担当しています。

他の運用会社と異なる当社の特徴は、私を含むアナリスト全員が、ファンダメンタルズ分析という昔からの伝統的なアナリスト業務と、最近トレンドのESG業務の両方を担当している点です。

背景には、ESGリサーチとファンダメンタルズ分析とを別のものとは捉えていないとの考え方があります。企業価値評価において、業績とバリュエーションに分けて考えた場合、例えば機関投資家がよく使うDCF(ディスカウント・キャッシュフロー)法や残余利益モデルなどを考えると、バリュエーションが資本コストに当たり、この資本コストに大きな影響を与えるのがESG項目であると考えています。その場合、ESGを分析しなければ、本源的な企業価値の分析ができません。最終的に、この2つの分析結果を統合して企業価値評価を行うのですが、1人で両方の分析結果を見た方が数字上に表れない違い等を含めた比較ができ、投資先企業に対してもファンダメンタルズを理解しているアナリストがエンゲージメントを行う方が、より説得力が高まると考えています。

大和アセットマネジメント:寺島氏

Q.QUICK Workstation(Astra Managerパッケージ)はどのように活用されていますか。

特にファンダメンタルズ分析で有効に活用しています。例えば、財務データのダウンロードやリアルタイムデータの取得などです。ファンダメンタルズ分析によって業績予想を行う際に最も重要となるのは、コンセンサスとの乖離を見出せるか否かだと思います。すなわち、我々がいくら高く評価しても、世の中の平均的な評価との乖離が小さく、かつ業績予想も同程度であれば、投資対象としてアルファを獲得することはできません。そのコンセンサスの把握に、QUICK Workstation(Astra Managerパッケージ)は非常に役立っています。

株式分析機能は使い勝手のいいフォーマットが揃っているので、例えば業界内や類似企業で横比較をするとき、あるいはヒストリカルな分析をするときなどに活用しています。データをExcelにリンク形式でダウンロードできるレポート機能も感覚的に使いやすいですね。各種データをダウンロードできるフォーマットが揃っているのもとてもありがたいです。

ただ、正直に申し上げると、データ量が膨大であるがゆえに、どのようなデータが揃っていて、更新頻度はどのくらいか、どのデータをどう使えば有効か、などが把握できないこともあります。そのときは、「こういうデータ、こういうアウトプットを定期的にリアルタイムで取りたいので、こういうフォーマットは作れますか」といった形でQUICKのサポートにお願いしています。口頭だったり、アウトプットのイメージ図などを示したりして説明すれば、ほぼ毎回、サポートの方で対応していただけます。サポート体制の充実や使い勝手の良さもサービス導入の決め手のひとつとなりました。

Q.今後の業務上の課題、QUICKに期待することを教えてください。

最も期待しているのは、ESG関連データの充実です。財務分析に関しては、決算短信や有価証券報告書のようにルールに従ったフォーマットで各企業より情報が開示されていますが、ESGデータについてはルール化の途上であるため、まだまだ「フリースタイル」に近い状態です。会社側の開示が追いついていないという現状もあって難しい領域だとは思いますが、データの蓄積にぜひ取り組んでいただきたいと考えています。

我々にとってもESG情報・データの収集、リサーチは取り組むべき課題のひとつとなっています。ESGリサーチを行う際、あるいは企業にエンゲージメントを行う際、やはり基本となるデータを持っていないとアプローチができません。しかしながら、現状では、そのデータを集めるところに多くの時間を費やしています。また、ファンドの受益者等への説明を行う場合においても、ESGに関するポートフォリオ全体での取り組み等のデータや分析が求められ、そのためにソリューションを準備する必要にも迫られています。

現在、我々は企業のESGへの取り組みを5段階で評価して企業価値算定に組み入れていますが、例えば、この評価をさらに細分化できるのであれば、もっと精緻な企業価値算定が可能になります。また、現在アナリストが行っている評価はあくまでも定性的な評価であり、恣意的な要素を完全には排除できていない可能性もあります。逆に言えば、アナリストの定性的な評価とESGデータを評価したスコアを上手く突合あるいは融合することによって、より精緻な企業価値算定ができるようになると考えます。さらに、これを企業とのエンゲージメントに活用すれば、例えば「御社はこの項目が悪いから全体スコアが同業他社と比べて低くなっています。または、この項目に取り組めばスコアが大きく上昇します。」といった助言が可能となります。こうした活動を効率的に行うことが、我々が目指すべき方向性だと考えており、最重要課題だと認識しております。今後、QUICKとも連携してこれらに取り組んでいきたいと考えています。

 

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