ESG研究所9月末のESGスコア、クボタが首位維持 野村不HDがトップ10復帰
2026年10月05日

アラベスクグループのESG評価サービス「ESGブック」(注)による2026年9月30日時点の日本企業の「ESGパフォーマンス・スコア・プラス(EPSP)」をランキングしたところ、首位はクボタ(6326)だった。四半期末ベースでは6月末に次いで首位を維持した。野村不動産ホールディングス(野村不HD、3231)が3月末以来、2四半期ぶりにトップ10に返り咲いたほか、三菱商事(三菱商、8058)がトップ20入りしたのが目に付いた。


ESGパフォーマンススコアはIFRS財団傘下の国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)が運営する「SASBスタンダード」の26カテゴリーで評価する指標(QUICK Knowledge 特設サイトでは「合計スコア」と表示)だ。ESGブックは「E(環境)」「S(社会)」「G(ガバナンス)」の「ピラースコア」と、「環境」「社会資本」「人的資本」「ビジネスモデルとイノベーション」「リーダーシップとガバナンス」の「ディメンション(領域)スコア」を算出している。
ESGパフォーマンススコアには企業の開示情報に基づく「コア」のスコアと、企業の開示情報にニュースやNGO(非政府組織)の情報を反映した「プラス」のスコアがあり、プラスのスコアは更新頻度が高い。各スコアはそれぞれ0から100の範囲で算出され、高いほど優れていることを示す。本稿では「プラス」を取り上げる。
日本企業のEPSPの上位10社(図表1)を1年前と比較したところ、首位のクボタ(1年前は3位)のほか、4位のセブン&アイホールディングス(3382、同2位)、8位の伊藤忠商事(8001、同9位)、9位の花王(4452、同4位)を除く6社が入れ替わった。上位11~20社(図表2)では、11位の大和ハウス工業(1925、同5位タイ)、15位のユニ・チャーム(8113、同5位タイ)、17位の三井物産(8031、同首位)のように、70台という高評価の中で順位を下げた銘柄もある。

10位の野村不HD(図表3)のEPSPは72.10と、1年前の64.72(64位)に比べ7.38ポイント上昇した。今年3月末時点の74.53(9位)より低いが、それ以降、70台を維持している。同社はSASBスタンダードではインフラセクターの不動産業種に属する。同スタンダードで企業の財務に影響を与える可能性が高い重要課題となるカテゴリーは「環境」領域の「エネルギー管理」「水と下水管理」、「ビジネスモデルとイノベーション」領域の「製品設計とライフサイクル管理」「気候変動の物理的影響」の4つだ。
野村不HDの取り組みをウェブサイトで調べたところ、「2030年までの重点課題(マテリアリティ)」として「気候変動と自然環境」分野では「脱炭素」「生物多様性」「サーキュラーデザイン」を特定し、実績・進捗状況を掲載。グループ会社の野村不動産パートナーズの一部事業所が国際標準化機構(ISO)の定めた環境マネジメントシステムの国際規格である「ISO14001」認証を取得するなど、廃棄物の減量や資源リサイクル、省エネルギー対策に取り組んでいる。

14位の三菱商(図表4)のスコアは71.90と1年前の67.87(34位)から4.03ポイント上昇した。同社はSASBスタンダードでは採掘及び鉱物加工セクターの金属及び鉱業業種に属する。重要なカテゴリーは26中10以上あり、例えば、環境領域では6カテゴリーすべて、人的資本領域では3カテゴリーのうち「労働慣行」「従業員の健康と安全」の2カテゴリーが含まれる。こうした重要課題の取り組みへの評価が総じて高く、人的資本スコアに限ると88.88と、日本企業で首位だった。
この1年の株価動向をみると、9月末の東証株価指数(TOPIX)が1年前に比べ30.95%上昇する中、野村不HDは6.73%下落した。一方、三菱商は35.06%上昇し、TOPIXの上昇率を上回った。このように株価とESGスコアの評価が一致するとは限らない。ESGブックは評価機関の一つに過ぎないうえ、株価はESG要因以外の様々な材料で動くためだ。ただ、ESG課題への取り組みは中長期的な企業価値向上につながると考えられており、ESG評価が上がったり、高い水準を維持したりした銘柄を調べる意義があるだろう。
(注)ESGブックは今年7月、欧州で信用格付けとESG評価を手掛けるエシフィナンスとの統合を発表した。
(QUICK ESG研究所 遠藤大義)
【参照】
2026年7月6日:6月末のESGスコア、クボタが首位 ENEOS、アドバンテストがトップ10
2026年4月6日:3月末のESGスコア、NGKが首位に 上位10社の7社が1年前と入れ替わる
2026年1月5日:25年末のESGスコア首位は三井物、ライオン3位に躍進
2025年10月3日:9月末ESGスコア首位は三井物、ダイフク20位に上昇 環境と人的資本のスコアに相関