ESG研究所PRI年次会議、オランダで10月13~15日開催 「人、地球、繁栄のための投資」を議論

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国連責任投資原則(PRI)の年次会議「PRI in Person 2026」が10月13日から15日までオランダのアムステルダムのRAIコンベンションセンター(写真提供:Getty Images)で開催される。PRI署名機関である資産保有者(アセットオーナー)や資産運用会社(インベストメントマネジャー)、サービスプロバイダーのほか、政策立案者や専門家が参加し、ESG(環境、社会、ガバナンス)投資に関する最新情報を共有し、意見交換する。PRI創設20周年記念の今回のテーマは「人、地球、繁栄のための投資」だ。

PRIは2006年、持続可能な国際金融システムの実現を目的に発足した。「投資分析と意思決定のプロセスにESGの課題を組み込む」ことなど、6つの責任投資原則を定めている。PRIの「アニュアルレポート2026」によると、署名機関数は26年3月末時点で5023(アセットオーナー747、インベストメントマネジャー3839、サービスプロバイダー437)、運用資産残高は135兆5000億米ドルにのぼる。QUICKはサービスプロバイダーとして13年10月にPRIに署名している。

 

■欧州ではバルセロナ以来4年ぶりに開催

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今回の欧州での開催はスペインのバルセロナで開催された22年以来4年ぶりとなる(表1)。23年の東京(アジア)、24年のカナダのトロント(北米)、25年のブラジルのサンパウロ(南米)と世界を周回して欧州に戻る格好だ。27年は香港と、東京で開かれた23年以来4年ぶりのアジア開催が予定されている。

PRIの「アニュアルレポート2026」によると、昨年11月のブラジル・サンパウロには51カ国から1300人が参加した。22年のスペイン・バルセロナには69カ国から1200を超す組織から1600人が集い、過去最大の参加規模だった(PRIの「アニュアルレポート2023」)。26年3月末の地域別署名機関数は欧州が2693と過半を占めるだけに、今回も多くの参加者が見込まれそうだ。

 

■全体会に加え、30の分科会、関連イベントも

事前に公開されている今回のアジェンダ(10月6日閲覧)によると、10月13~14日に「プレナリー・セッション(全体会)」に加え、30の「ブレイクアウト・セッション(分科会)」が予定されている。15日はPRI署名機関総会のほか、投資家や政策立案者、NGO(非政府組織)など幅広い関係者が一堂に会する「コラボレーションデー」として、PRIと主催するパートナーが主導するサイドイベント(関連イベント)が目白押しだ。

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PRIは全体会、分科会について「気候とエネルギー」「地政学と防衛」「ガバナンス」「自然」「政策と規制」「社会」「テクノロジーとAI(人工知能)」の7テーマに分類している。また、新興市場・途上国で活動する登壇者のセッションを「EMDEs」、学術・市場調査を共有するセッションを「リサーチ(調査)」、プライベートマーケッツ(非上場市場)に精通した登壇者や組織のセッションを「プライベートマーケッツ」に分類している。

各テーマが相互に関連したりするため、複数のテーマ分類にまたがるセッションもあるが、QUICK ESG研究所は各セッションの議題や説明からあえて1セッション1テーマに絞り込んだ独自の分類を考案した。テーマとして「気候」「自然」「社会」「地政学」「企業統治」「AI」「政策」「投資」「開示」の9分類とした。

全体会(表2)の目玉はオランダ気候・グリーン成長相のスティエンチェ・ファン・フェルトホーフェン=ファン・デル・メール氏の基調講演だ。脱炭素化と産業競争力の維持をいかに両立させるのかが各国共通の課題とされる中、現実的で実践的なグリーン成長政策に対する発言が注目される。また、AIを活用した地理空間予測位置分析プラットフォームを手掛けるアルファジオの創業者兼最高経営責任者(CEO)であるパラグ・カンナ氏が10月14日に講演する予定だ。同氏は23年に東京でも講演している。

 

■物理的気候リスク、地政学リスクなどに注目

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分科会(表3)は6セッションずつ同時に開催される(1A~1F、2A~2F、3A~3F、4A~4F、5A~5Fが同時開催)。QUICK ESG研究所が30セッションを独自に分類したところ、「投資」が8セッションと最多で、「気候」が7セッションで次ぐ。「気候」では山火事や洪水・豪雨が地球規模で増加しており、「3F:シナリオから戦略へ:ポートフォリオ全体への物理的気候リスク管理の統合」が注目されそうだ。

ウクライナ戦争に加え、米国とイスラエルによるイランへの軍事侵攻によって「地政学」にも関心が集まる。「1D:安全保障への投資:責任投資家は防衛のジレンマにどう対処すべきか」、「3E:紛争地域におけるスチュワードシップ:防衛・デュアルユース技術への投資家対話」が興味深い。AIの急速な発展が懸念も生じさせる中、「1F:AIと責任あるテクノロジーに関する投資家行動:リスクとガバナンスの新たな枠組み」も重要なテーマの1つだ。

このほか、今年5月に不平等・社会関連財務情報開示タスクフォース(TISFD)がベータ版(第1版)を公表し、情報開示フレームワーク開発が続いているため、「3C:強靭な社会と経済のための不平等への取り組み:新たな基準とベストプラクティス」も関心を集めそうだ。国連生物多様性条約第17回締約国会議(COP17)を10月19~30日に控えるタイミングとあって「自然」関連のセッションも必見だ。

 

(QUICK ESG研究所 遠藤大義)