ESG研究所JPX日経400定期入れ替え、新指数HC100への影響は
2025年08月08日
JPX総研と日本経済新聞社は8月7日、「JPX日経インデックス400」(以下、JPX日経400)の構成銘柄の定期入れ替えを発表した。JPX日経400は、7月22日から新たに算出を始めた「JPX日経インデックス人的資本100」(以下、JPX日経HC100)の母集団だ。これによりJPX日経HC100の構成銘柄はどう変化するのか探った。
人的資本に着目した新しい株価指数であるJPX日経HC100は、毎年6月最終営業日を基準日として、毎年8月最終営業日に構成銘柄の定期入れ替えが実施される。今年の定期入れ替えは8月22日に発表され、8月29日の算出から適用される予定だ。
JPX日経HC100の構成銘柄の選定にはESG評価機関であるESGブックの「人的資本スコア」に3項目を加点した「総合人的資本スコア」が使用される。ESGブックはSASB(サステナビリティ会計基準審議会)の基準を考慮して「ESGパフォーマンススコア」(トータルスコア)のほか、5つのディメンション(領域)スコアを算出しており、人的資本は5領域の1つだ。
加点3項目は、①女性管理職比率が30%以上、②平均年間給与の成長率がJPX日経400構成銘柄の上位10%、③従業員1人当たりの営業利益成長率が同上位10%――で、それぞれ満たす企業に5点が加わる。ESGブックの「人的資本スコア」は100点満点で、3つの加点項目はそれぞれ5点なので総合人的資本スコアの最高は115点になる計算だ。
8月最終営業日である29日から適用されるJPX日経400の構成銘柄が発表されたので、入れ替え後の400社のESGブックによる人的資本スコアをランキングした(表)。QUICK の情報端末(QUICK Workstation Astra Manager)の 「レポート」機能を使い、データ日付が6月30日のESGブックの「コアスコア」から「ディメンションスコア人的資本」を選択し、ダウンロードして作成した。
人的資本スコアのトップ3は伊藤忠商事(8001)、小松製作所(6301)、丸紅(8002)で、いずれもすでにJPX日経HC100の構成銘柄だ。上位20社では横河電機(6841)、日本ガイシ(5333)、大成建設(1801)が現在採用されていない。
JPX日経400に今回新たに採用される銘柄(表の網掛け)では、レゾナック・ホールディングス(4004)、京王電鉄(9008)、ANAホールディングス(9202)の人的資本スコアが70点を超えている。加点3項目が影響を及ぼすが、これらのランキング上位銘柄はJPX日経HC100採用の有力候補だ。
一方、JPX日経HC100の現構成銘柄のうちJPX日経400の構成銘柄から除外されるのは、資生堂(4911)、AGC(5201)、ナブテスコ(6268)、太陽誘電(6976)、NTTデータグループ(9613)の5社だ。このうち資生堂の6月30日時点の人的資本スコアは85.41と高水準だった。
(QUICK ESG研究所 遠藤大義)