ESG研究所25年末のESGスコア首位は三井物、ライオン3位に躍進

25年末のESGスコア首位は三井物、ライオン3位に躍進

アラベスクグループのESG評価サービス「ESGブック」による2025年12月31日時点の日本企業の「ESGパフォーマンス・スコア・プラス(EPSP)」をランキングしたところ、首位は三井物産(三井物、8031)だった。四半期末ベースでは24年12月末から5四半期連続で首位を維持した。ライオン(4912)が3位に入り、1年前の107位から躍進したのが目を引いた。

ESGパフォーマンススコアは「SASBスタンダード(サステナビリティ会計基準審議会基準)」の26のカテゴリーで評価する指標(QUICK Knowledge 特設サイトでは「合計スコア」と表示)。ESGブックは「E(環境)」「S(社会)「G(ガバナンス)」の「ピラースコア」と、「環境」「社会資本」「人的資本」「ビジネスモデルとイノベーション」「リーダーシップとガバナンス」という5つの「ディメンション(領域)スコア」を算出している。

「コア」のスコアが企業の開示情報に基づいたものであるのに対し、「プラス」のスコアは、企業の開示情報に加え、メディアのニュースやNGO(非政府組織)などの情報を反映しており、更新頻度が高い。各スコアはそれぞれ0から100の範囲で算出され、高いほど優れていることを示す。ここでは「プラス」のスコアを取り上げる。

 

スコアランキング_1

 

日本企業のEPSPの上位10社(図表1)を1年前と比べたところ、首位の三井物のほか、2位のクボタ(6326、24年12月31日時点は2位)、6位の伊藤忠商事(8001、同4位)、7位のユニ・チャーム(8113、同8位)、10位のアサヒグループホールディングス(2502、同7位)以外の5社が入れ替わった(注1)。

3カ月前の25年9月30日時点と比べると、花王(4452)が4位から20位に、大和ハウス工業(1925)が5位から14位に順位を下げたが、他の8社の顔触れは変わらなかった(注2)。入れ替わったのは、躍進したライオン(25年9月末時点は96位)と、5位の日清食品ホールディングス(日清食HD、2897)だ。日清食HDは24年12月末時点が13位、25年9月末時点は17位だった。

 

スコアランキング_2

 

ライオンのEPSPは78.14と1年前の62.89から15.25ポイント上昇した。ディメンションスコアは5領域とも上がった。このうち「ビジネスモデルとイノベーション」は80台、「環境」と「社会資本」は70台と高い評価を受けている(図表2)。

ライオンのウェブサイトのサステナビリティに関するニュースリリースによると、25年12月に環境NPO(非営利組織)のCDPから「水セキュリティ」分野で最高評価となる「Aリスト」に5年連続5回目の選定を受けている。また、25年2月に品質マネジメントシステムの国際規格である「ISO9001」の対象事業所を、国内関係会社6社を含む統一認証に拡大した。

 

スコアランキング_3

 

日清食HDのEPSPは75.06と1年前の72.89から2.17上昇した。ディメンションスコアは「環境」「社会資本」「リーダーシップとガバナンス」の3領域が上がった。このうち環境は80台、社会資本は70台と評価が高い(図表3)。

日清食HDのウェブサイトで調べたところ、20年4月に環境戦略「EARTH FOOD CHALLENGE 2030」を策定。環境保護と資源の有効活用に挑戦する「資源有効活用へのチャレンジ」と事業活動全般におけるCO2(二酸化炭素)排出量削減に挑戦する「気候変動問題へのチャレンジ」の2つを柱として目標を掲げて取り組んでいる。

ライオンと日清食HDの株価の推移を見ると、ESGスコアの評価にもかかわらず、この1年間にそれぞれ6.44%下落、23.84%下落とさえない。東証株価指数(TOPIX)はこの1年間に22.41%上昇している。

ESGブックによるEPSP算定対象の日本企業約1000社の中で年間の株価騰落率が首位だったのはメディカル・データ・ビジョン(MDV、3902)で株価は約4.3倍(329.52%上昇)だった。MDVは日本生命保険によるTOB(株式公開買い付け)という材料で株価が急騰した。2位は三井海洋開発(三井海洋、6269)で25年12月期通期の業績予想の上方修正などが手掛かりだった。

MDVの25年12月末時点のEPSPは42.64(24年12月末時点は41.35)、三井海洋は47.73(同44.81)と、いずれも改善したものの、40台にとどまっている。このように短期的に株価とESGスコアの評価は必ずしも一致しないが、ESGへの取り組みは中長期的に企業価値の向上につながると考えられている。ESGブックはESG評価機関の1つに過ぎないが、ESGスコアの上がった企業の取り組みを追いかける意味はあるだろう。

 

(注1)2025年1月6日の記事「ESGブックの24年末スコア、ユニ・チャームが6位に浮上 首位は三井物産」参照
(注2)2025年10月3日の記事「9月末ESGスコア首位は三井物、ダイフク20位に上昇  環境と人的資本のスコアに相関」参照

(QUICK ESG研究所 遠藤大義)