ESG研究所【政府・レギュレーションの動向】 責任投資原則(PRI)署名機関1500機関を超える ~日本は42機関、世界第12位~
2016年04月28日
1. 世界の署名機関
責任投資原則(PRI)(以下「PRI」という。)によると、世界の署名機関が2016年4月5日現在1,503機関になった。2015年6月24日の1,388機関(うち、日本は33機関)と比較すると、115増加している。
カテゴリー別では、アセットオーナー305機関(全体の20.3%)、インベストメントマネジャー992機関(全体の66.0%)およびプロフェッショナルサービスパートナー206機関(全体の13.7%)とインベストメントマネジャーが全体の3分の2を占めている。
署名機関が属している国別でみると、3カテゴリ―全体では60か国、アセットオーナー29か国、インベストメントマネジャー52か国およびプロフェッショナルサービスパートナー32か国となっている。
国別署名機関数(3カテゴリ―合計)では、アメリカ273、イギリス213、フランス142、オーストラリア116およびオランダ88となっており、上位5か国合計832機関で全体の55.4%を占めている。日本は42機関で、第10位南アフリカ52、第11位スウェーデン51に次いで、第12位である。
国別署名機関数(アセットオーナー)では、イギリス42、オランダ38、オーストラリア34、カナダ27およびアメリカ25となっており、上位5か国合計166機関で全体の54.4%を占めている。日本は10機関で、第9位のフランス、フィンランド11に次いで、と第11位(スペインと同順位)である。
国別署名機関数(インベストメントマネジャー)では、アメリカ206、イギリス138、フランス119、オーストラリア71およびオランダ44となっており、上位5か国合計578機関で全体の58.3%を占めている。日本は25機関で、第10位スウェーデン30、第11位ブラジル26に次いで、第12位である。
国別署名機関数(プロフェッショナル サービス パートナー)では、アメリカ42、イギリス33、スイス14、ブラジル12およびフランス12となっており、上位5か国合計113機関で全体の54.9%を占めている。日本は7機関で、第7位のドイツ、南アフリカ、カナダの10に次いで、第10位である。
2. 日本の署名機関
日本は、2016年4月5日時点で42機関となり、2015年3月31日時点の30機関と比較して、12機関増加している。
その内訳は、アセットオーナー10機関(+5)(全体の23.8%)、インベストメントマネジャー25機関(+4)(全体の59.5%)およびプロフェッショナル サービス パートナー7機関(+3)(全体の16.7%)である。
この1年では、アセットオーナーの署名の増加が目立つが、その内訳をみると、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)、生命保険会社2、損害保険会社1および大学法人1であり、企業年金基金の署名はない。
GPIFが署名したことは、今後その影響力は大きいと思われるが、それ以外の公的年金は署名しておらず、また、生命保険会社が3社、企業年金基金も2基金にとどまっているのが現状である。
インベストメントマネジャーでは、りそな銀行および信託銀行4ならびに投資顧問会社21が署名しており、年金資産の受託をしている大手投資顧問会社はおおむね署名している。
参考
PRI署名機関
資料
別表1.PRI署名機関(世界)3カテゴリー合計署名機関数国別ランキング
別表2.PRI署名機関(世界)AO署名機関数国別ランキング
別表3.PRI署名機関(世界)AM署名機関数国別ランキング
別表4.PRI署名機関(世界)SP署名機関数国別ランキング
別表5.PRI署名機関(日本)
注:別表1-5については、PRIのHPより株式会社QUICKが作成
QUICK ESG研究所 中村俊之