東京ターム物リスク・フリー・レートTORF
LIBOR移行の概要
「LIBOR」は、ロンドン銀行間取引金利(London Interbank Offered Rate)の略称で、融資や社債などの基準金利として幅広く用いられています。世界の主要銀行が、ロンドンの短期金融市場で自行が資金調達する金利を算出機関に報告し、その平均値で算出されているもので、対象の通貨はドル、円、ユーロ、英ポンド、スイスフランの5つです。
2012年、複数の銀行が申告金利を自行に有利になるよう偽っていた不正操作事件が発覚し、信頼性が大きく失墜しました。2017年7月には、英金融行為監督機構(FCA)が2021年末以降のLIBOR公表を保証しない方針を表明していましたが、2021年3月、ドルの一部タームを除き、現行の方式によるLIBORの公表を2021年末に停止することを正式に発表しました。
LIBORの公表が停止されると、融資などの金利やデリバティブ取引における金銭の支払い額の算出ができなくなる恐れがあり、金融市場に混乱をきたす可能性があります。そのため、金融機関や企業などはLIBORを参照する新たな取引を止めると同時に、既存の取引を後継指標に切り替えるといった対応を急ぐ必要があります。
※2021年末、予定通り、従来の方式によるLIBORの公表はドルの一部タームを除いて停止されました。
TORFとは
概要
日本では、LIBOR後継指標の候補として複数の方式がありますが、日銀が事務局をつとめる「日本円金利指標に関する検討委員会」が2019年11月に実施した市中協議でもっとも支持を集めたのが、QUICKが算出・公表する東京ターム物リスク・フリー・レート(TORF)です。TORFは、金融機関の信用リスクをほぼ含まないとされる無担保コール翌日物金利に基づく指標で、デリバティブ取引のデータから1カ月や3カ月などの期間の金利を計算します。LIBORなど既存の金利指標と同様、金利の計算期間の開始時点でレートが決まっているため、切り替えに伴うシステムや事務作業の負担は比較的小さいとされています。
QUICKは、2020年2月に参考値の算出・公表主体に指名されました。公表にあたっては、市場参加者や金利指標ユーザーが事務体制等を整備するために用いる「参考値」の段階(フェーズ1)と、実際に取引に用いる「確定値」の段階(フェーズ2)の2段階に分かれます。「参考値」は、2020年5月から週次、10月から日次でQUICKが公表していました。
2021年1月、「株式会社QUICKベンチマークス(略称:QBS)」を設立。4月から、QBSが「確定値」の公表を開始し、TORFは特定金融指標に指定されました。10月には、金融商品取引法にもとづき、業務規程及び行動規範、算出要綱などの関連規程が内閣総理大臣の認可を受けました。
特徴
- 日本円
「リスク・フリー・レート」
をもとにした
ターム物金利 - 期初に適用金利が
決定する
「前決め」 - 金利参照期間と
金利計算期間が
一致
LIBORからの切替負担が
小さい
名称
正式名称 | 「東京ターム物リスク・フリー・レート」 |
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英語名称 | 「Tokyo Term Risk Free Rate」 |
略称 | 「TORF」(トーフ) |
データについて
ターム | 1M、3M、6M |
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基準時刻 | 東京営業日15時 |
公表時刻 | 同日17時頃 |
※算出対象日については、こちらをご確認下さい。
算出方法について
算出元データ
スポット・スタートの日本円OISアウトライト取引 |
東京営業日中の約定取引 |
実取引:約定レート、想定元本額、約定日時分 |
気配値:最良ビッドおよび最良オファーのレート等、呈示日時分 |
算出手法
実取引データを第一順位として、該当データがない場合に次の順位のデータを採用するウォーターフォール手法を採用しています。各順位のデータの詳細は、以下の算出方法詳細資料PDFでご覧いただけます。
各種スケジュール
2020年 |
2月26日 | ターム物リスク・フリー・レート(参考値)の算出・公表主体に選定 |
フェーズ |
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5月26日 | 参考値の週次算出を開始 | ||||
7月28日 | 名称を「東京ターム物リスク・フリー・レート」に決定 | ||||
10月9日 | 参考値の日次算出を開始 | ||||
2021年 |
1月18日 | TORF算出会社「QUICKベンチマークス(QBS)」設立 | |||
4月26日 | 確定値の公表開始 |
フェーズ |
|||
4月27日 | 特定金融指標に指定 | ||||
10月26日 | 金融商品取引法にもとづき関連規程の認可を取得 | ||||
12月31日 | 日本円LIBOR公表停止 |
2020年 |
フェーズ |
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2月26日 | ターム物リスク・フリー・レート(参考値)の算出・公表主体に選定 | ||
5月26日 | 参考値の週次算出を開始 | ||
7月28日 | 名称を「東京ターム物リスク・フリー・レート」に決定 | ||
10月9日 | 参考値の日次算出を開始 | ||
2021年 |
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1月18日 | TORF算出会社「QUICKベンチマークス(QBS)」設立 | ||
4月26日 | 確定値の公表開始 |
フェーズ |
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4月27日 | 特定金融指標に指定 | ||
10月26日 | 金融商品取引法にもとづき関連規程の認可を取得 | ||
12月31日 | 日本円LIBOR公表停止 |
データの取得方法
QUICKのサービスにおける取得方法
対象プロダクト | QUICK Workstation、Qr1、QUICK Asset Design PRO、 QUICK APIs、QUICK Feed等 |
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問合せ方法 | <リアルタイム> Quote コード: MJPY#TORF.n/QBS ※n=1、3、6 画面 コード: TORF@ <24時間ディレイ> Quote コード: MJPY#TORF.n/QBSD ※n=1、3、6 画面 コード: TORF@D |
QUICK Money World(24時間ディレイ) | https://moneyworld.jp/page/torf.html |
その他の公表先
日本経済新聞朝刊、日経NEEDSサービス Refinitiv(タイルRIC:<JPYTRR=QCKJ>、個別RIC:<JPYTRR1M=QCKJ>、<JPYTRR3M=QCKJ>、<JPYTRR6M=QCKJ>) Bloomberg(TORF<Go>) |
TORFのご利用に関するご案内
ライセンス契約
TORFのご利用にあたっては、QUICKとのライセンス契約が必要となります。「契約書サンプル」「料金表(利用者ライセンス)」をご確認の上、下記お問い合わせフォームからお申し込みください。(お申し込みにあたって必要となる「申込書サンプル」もご参照ください。)
ライセンスの詳細につきましては、「TORFライセンスガイド」もあわせてご確認下さい。
お問い合わせ
また、以下のQBSのウェブサイトに掲載されている内容もご確認下さい。
WEBフォームによるお申し込みも受け付けております。
フォームに必要事項をご入力の上、お申し込みください。
再配信ライセンス
TORFの再配信を希望される場合もQUICKとのライセンス契約が必要となります。
「料金表(再配信ライセンス)」をご確認の上、下記お問い合わせフォームからお申し込みください。
お問い合わせ
QBSのウェブサイトに掲載されている内容もご確認下さい。