ESG研究所【サステナビリティ意識調査】(6)課題への取り組みにプレミアムを支払うのは20%
2021年12月17日
エシカル(倫理的)消費の意識について、ESG投資意識と同じサステナビリティ課題10項目(①環境負荷、②水、③森林、④生物多様性、⑤人権、⑥労働環境、⑦地域貢献、⑧税の透明性、⑨組織の多様性、⑩ガバナンス)で、課題解決に取り組んだり、努力したりする企業の商品・サービスを購入したいかどうか尋ねた。選択肢は価格との関係から5つを設けた。
選択肢のうち、「①値段に関係なく買う」「②1~2割程度までなら高くても買う」を選んだ人を、企業のサステナビリティ課題への取り組みにプレミアムを支払う「エシカル消費先進群」と分類した。また、「③同じ値段なら努力している企業の方を買う」を選んだ人を、購入時にサステナビリティを一定程度考慮する「エシカル消費検討群」と名付けた。他の選択肢は「④取り組みに関係なく安い方を買う」「⑤商品・サービスを購入する際、そういったことは考えない」で、関心の弱い層だ。
(注)本連載で使用する図表はレポートから抜粋しており、図表番号もそのまま転載する
サステナビリティ課題10項目平均の「エシカル消費先進群」の割合は20.4%だった。世代別にみると、70代が23.2%と最も高く、次いで20代(22.3%)となり、50代が最も低く、ESG投資と同様に緩やかな「くの字」型の傾向が見られた。
「エシカル消費検討群」は全体平均で47.8%。70代が61.1%と最も高く、世代が下がるほど低くなった。一方、エシカル消費への「関心が弱い人」が最も多いのも20代(41.5%)だった。
サステナビリティ課題への取り組みにプレミアムを支払う「エシカル消費先進群」の割合が2割にとどまり、サステナビリティを一定程度考慮する「エシカル消費検討群」が5割近いということから、「良いものなら高くても買う」というわけではなく、価格が商品選択の上での大きな決定要因であることが分かった。逆に言えば、今後、価格面で遜色ないサステナビリティに配慮した商品やサービスが増えてくれば、そうでないものは消費者から選ばれなくなる可能性を示唆している。=(7)に続く
■調査の概要
- 名称:QUICKサステナビリティ意識調査2021
- 目的:個人が投資や購買にあたりサステナビリティをどの程度考慮しているか、男女別、世代別に意識の違いを明らかにして、金融商品やサービス開発の参考情報を提供する。
- 期間:2021年7月16~20日
- 対象:全国の20~70代の個人。内訳は20代517人、30代509人、40代509人、50代504人、60代503人、70代514人。
- 方法:調査を委託した日経リサーチが、登録しているモニターのうち20代から70代まで10歳刻みで年代別に男女それぞれ250人以上になるように募集し、ウェブサイト上の「アンケートフォーム」を通して回答を得た。
※「サステナビリティ意識調査2021」のリンクはこちら
QUICK リサーチ本部 ESG研究所