ESG研究所【サステナビリティ意識調査】(4)投資リターンよりESGを優先する人は全体の17%

 環境・社会・企業統治の課題への取り組みを重視する「ESG投資」に関する個人の意識を探るため、リターン(利益)との関係から5つの選択肢で尋ねた。集計にあたり、選択肢の「①リターンに関わらず是非投資したい」「②多少リターンが見劣りしても投資したい」を選んだ人を、リターンよりESGを優先する「ESG投資選好群」と分類した。

 また、選択肢の「③他の銘柄とリターンが同じくらいなら投資したい」「④リターンが見劣りするなら投資しない」を選んだ人を、リターン次第で企業の取り組みを考慮する「ESG投資検討群」と分類した。他の選択肢は「⑤こういう情報をまったく考慮しない」という無関心層だ。

 サステナビリティ課題は、①環境負荷、②水、③森林、④生物多様性、⑤人権、⑥労働環境、⑦地域貢献、⑧税の透明性、⑨組織の多様性、⑩ガバナンスの10項目に分け、こうした課題に配慮している企業に投資したいかどうかを上記の5つの選択肢で尋ね、10項目を平均して、ESG投資に関する意識を探った。

 投資リターンよりESGを優先する「ESG投資選好群」は全体の17.0%。世代別にみると、最も高いのは70代、次が20代となった。50代が最も少なく緩やかな「くの字」型の傾向が見られた。また、リターン次第で企業の取り組みを考慮する「ESG投資検討群」は全体の53.8%で、ESG投資選好群との合計は70.8%になった。男女別では、男性の方が「ESG投資選好群」の比率が高い。

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(注)本連載で使用する図表はレポートから抜粋しており、図表番号もそのまま転載する

 ESG投資商品を販売する金融機関にとっては、「ESG投資検討群」の取り込みが課題になりそうだ。ここに分類される人はESGへの考慮とリターンの関係性を示す情報があれば、サステナビリティに配慮した投資をする可能性があるとみられるからだ。このため、そうした情報の提供が今後のESG投資普及の鍵を握ることになるだろう。=(5)に続く

■調査の概要

  • 名称:QUICKサステナビリティ意識調査2021
  • 目的:個人が投資や購買にあたりサステナビリティをどの程度考慮しているか、男女別、世代別に意識の違いを明らかにして、金融商品やサービス開発の参考情報を提供する。
  • 期間:2021年7月16~20日
  • 対象:全国の20~70代の個人。内訳は20代517人、30代509人、40代509人、50代504人、60代503人、70代514人。
  • 方法:調査を委託した日経リサーチが、登録しているモニターのうち20代から70代まで10歳刻みで年代別に男女それぞれ250人以上になるように募集し、ウェブサイト上の「アンケートフォーム」を通して回答を得た。

※「サステナビリティ意識調査2021」のリンクはこちら

QUICK リサーチ本部 ESG研究所