ESG研究所【サステナビリティ意識調査】(3)ESG投資の認知度低く、判断する情報不十分

 環境・社会・企業統治の課題への取り組みを重視する「ESG投資」について尋ねたところ「すでにしている人」は全体の3.1%にとどまった。「聞いたことがある」と答えた人(14.6%)も含めても17.7%となり、個人へのESG投資の認知があまり進んでいないことが明らかになった。

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(注)本連載で使用する図表はレポートから抜粋しており、図表番号もそのまま転載する

 一方、ESG投資を「今後してみたい」と答えた人は全体の39.1%で、その割合は20代が最も多く44.9%で、男性42.6%、女性47.4%となった。20代を除くと総じて男性の割合が高く、女性は「関心がない」「わからない」と答えた人の合計が全体の約6割を占めた。

 ESG投資を「すでにしている」「今後してみたい」と答えた人に理由を聞いたところ、「環境や社会にとって良いことをしたいから」と「自分のお金が悪いことに使われたくないから」の回答の合計が56.2%と半数を超え、投資した企業が与える環境、社会への影響を考慮することを理由に挙げた。その一方で、「リターンにつながると思うから」を理由にあげたのは15.6%にとどまった。

 また、「ESG投資に関心がない」と回答した人のうち「リターンとの関連性がわからないから」が37.6%、「金融商品のESG情報が少なくて判断できないから」が25.2%と、投資判断する情報が十分でないとの回答が目立った。自由記述ではESG投資は「胡散臭い」「綺麗事」との指摘もあった。収益性への疑問が関心の低さにつながっている面がうかがえる。裏を返せば、ESGへの配慮とリターンとの関係性に係る情報を充実させることができれば、より多くの資金をESG課題への取り組みに取り込むことができる、ともいえる。

 海外の研究ではESG課題への取り組みが長期的にプラスのリターンをもたらすことが徐々に明らかになってきている。ESG投資の浸透には、こうした研究を日本国内でも行い、情報発信を拡充していくことが必要だ。=(4)に続く

■調査の概要

  • 名称:QUICKサステナビリティ意識調査2021
  • 目的:個人が投資や購買にあたりサステナビリティをどの程度考慮しているか、男女別、世代別に意識の違いを明らかにして、金融商品やサービス開発の参考情報を提供する。
  • 期間:2021年7月16~20日
  • 対象:全国の20~70代の個人。内訳は20代517人、30代509人、40代509人、50代504人、60代503人、70代514人。
  • 方法:調査を委託した日経リサーチが、登録しているモニターのうち20代から70代まで10歳刻みで年代別に男女それぞれ250人以上になるように募集し、ウェブサイト上の「アンケートフォーム」を通して回答を得た。

※「サステナビリティ意識調査2021」のリンクはこちら

QUICK リサーチ本部 ESG研究所