ESG研究所【サステナビリティ意識調査】(2)最も大切だと思うSDGs目標は世代・男女間でばらつき

 国連の提唱するSDGs17目標のうち、最も大切だと思うものを1つ選ぶ設問では、「SDGsを初めて聞いた・知らない」を除くと、「Goal 3(すべての人に健康と福祉を)」の割合が最高だった。全世代で上位2位以内に入った。次いで「Goal13(気候変動に具体的な対策を)」、「Goal1(貧困をなくそう)」だった。「Goal16(平和と公正をすべての人に)」は各世代で上位4位以内に選ばれた。

 「Goal13」は40代以上で上位3位に入ったが、40代以下では「Goal1」が上位2位以内だった。20代や30代では、「Goal 7(エネルギーをみんなにそしてクリーンに)」、「Goal 10(人や国の不平等をなくそう)」、「Goal 11(住み続けられる街づくりを)」も上位に入った。

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(注)本連載で使用する図表はレポートから抜粋しており、図表番号もそのまま転載する

 男女別で、20~40代男性では「Goal 1」が1位だが、同世代の女性では「Goal 3」が1位。また、20代~40代男性では「Goal 8(働きがいも経済成長も)」が上位5位に入った。「Goal 5(ジェンダー平等を実現しよう)」は20代女性の4位に入った。

 最も大切だと思うSDGsの目標を選んだ理由として、全体の約半数が「世界を見渡すと目標に遠い現状があるのを知っているから」と回答した。その割合は、70代で高く20代で低い。20代は「実体験」「自分の周辺や地域社会」「国内」で目標に遠い現実があるという回答、つまり、身近な課題を重視する割合が6割を超えた。男女間でみると女性の方が世界の課題と捉える傾向が強い一方で、20代、30代の男性の6割以上が身近な課題を重視することがわかった。

 最も大切な思うSDGsの目標は世代間、男女間でばらつきが見られるが、総じてみると、若い世代は地球温暖化という長期のグローバルな環境課題よりも、自分に身近な、所得の不平等や働きがい、ジェンダー平等といった社会的な課題に対する関心が高いようにみえる。

 世代間の違いについては、例えば、昭和の時代を知っている中高年は最近の猛暑やゲリラ豪雨など気候変動を肌感覚で感じているためなのかもしれない。あるいは、若い世代にとって社会課題がそれだけ切実な問題になっている可能性もある。様々な解釈ができるので、ここでは世代別にこうした意識の違いがあることを押さえるにとどめ、投資行動、購買行動をみていくことにしよう。=(3)に続く

■調査の概要

  • 名称:QUICKサステナビリティ意識調査2021
  • 目的:個人が投資や購買にあたりサステナビリティをどの程度考慮しているか、男女別、世代別に意識の違いを明らかにして、金融商品やサービス開発の参考情報を提供する。
  • 期間:2021年7月16~20日
  • 対象:全国の20~70代の個人。内訳は20代517人、30代509人、40代509人、50代504人、60代503人、70代514人。
  • 方法:調査を委託した日経リサーチが、登録しているモニターのうち20代から70代まで10歳刻みで年代別に男女それぞれ250人以上になるように募集し、ウェブサイト上の「アンケートフォーム」を通して回答を得た。

※「サステナビリティ意識調査2021」のリンクはこちら

QUICK リサーチ本部 ESG研究所