ESG研究所【サステナビリティ意識調査】(1)20代はSDGs「知らない」が世代別で最高
2021年12月17日
QUICKリサーチ本部ESG研究所は12月8日、ESG投資やエシカル(倫理的)消費に対する個人の意識を年代別に調べた「サステナビリティ意識調査2021」を公表した。同調査を実施したのは今回が初めて。インターネットを通じて全国の20代から70代の3056人から回答を得た。集計結果を7回に分けてまとめ、最後に解説を配信する。
アンケートの第1問は「SDGs(持続可能な開発目標)17の目標のうち、最も大切だと思うものを1つお答えください」にした。17の目標からあえて1つ選ぶ形にして関心を探った。その一方で、18個目の選択肢に「SDGsを初めて聞いた・知らない」を加え、そもそも認知されているかどうかも調べた。
「SDGsを初めて聞いた・知らない」と答えた人の割合は18.6%となった。世代別でみると20代の割合が最も高く、70代が最も低かった。20代と70代の差は、女性が6.6ポイントだったのに対し、男性は19.5ポイントと大きかった。
また、「地球温暖化が私たちの生活に及ぼす影響はいつ頃起こると思いますか」という設問に対し、「今すでに起きている」と回答した人は全体の52.9%。世代が上がるほどすでに起きていると回答した人の割合が高くなり、70代の割合(69.8%)は20代(35.6%)の約2倍だった。
(注)本連載で使用する図表はレポートから抜粋しており、図表番号もそのまま転載する
20代では、10年以内・30年以内・それより先を合わせた「将来起こると思う」の合計(37.5%)が、「今すでに起きている」(35.6%)を上回り、他の世代に比べ、現時点における地球温暖化の影響を認識していない人の割合が高かった。男女別では、全世代において男性の方が現時点における地球温暖化の影響を認識してない人の割合が高い。
調査結果は、若者は総じて環境問題への関心が高いというイメージを覆す結果になった。5歳刻みの人数がそろっていないので参考データだが、20代後半よりも20代前半の方がサステナビリティ課題に関心のある人の割合が高い面が見られ、20代前半のZ世代と後半のミレニアル世代でサステナビリティに対する意識が異なる可能性がある。
20代は地球温暖化といったグローバルな環境課題よりも、自分に身近な、所得の不平等や働きがい、 ジェンダー平等といった社会的課題に対する関心がより切実なのかもしれない。教育を受けた時期や社会人経験の差など、若者の二極化の実態や背景については、別の調査で改めて考えていきたい。=(2)に続く
■調査の概要
- 名称:QUICKサステナビリティ意識調査2021
- 目的:個人が投資や購買にあたりサステナビリティをどの程度考慮しているか、男女別、世代別に意識の違いを明らかにして、金融商品やサービス開発の参考情報を提供する。
- 期間:2021年7月16~20日
- 対象:全国の20~70代の個人。内訳は20代517人、30代509人、40代509人、50代504人、60代503人、70代514人。
- 方法:調査を委託した日経リサーチが、登録しているモニターのうち20代から70代まで10歳刻みで年代別に男女それぞれ250人以上になるように募集し、ウェブサイト上の「アンケートフォーム」を通して回答を得た。
※「サステナビリティ意識調査2021」のリンクはこちら
QUICK リサーチ本部 ESG研究所