ESG研究所【ESGブック】大阪・関西万博パートナー企業のサステナビリティ分析

【ESGブック】大阪・関西万博パートナー企業のサステナビリティ分析

2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)まであと1年余りとなった。今回は、同万博を資金面で支えるスポンサー企業に注目したい。同万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」である。命の大切さを示す3つのサブテーマがあり、そして3つのコンセプトがある。この3つのコンセプトの一つに「人類共通の課題解決に向け、先端技術などの世界の英知を集め、新たなアイデアを創造・発信する場に。」があり、企業の役割や企業に対する期待が披露されるのではないかと待ち望んでいる。

そこで、同万博の中核事業であるテーマ事業「シグネチャーパビリオン」に10億円以上協賛しているパートナー企業10社(2023年12月26日時点)について、サステナビリティの観点から、各企業に力を入れて欲しい項目を挙げたい。各企業に力を入れて欲しいサステナビリティ項目は、ESGブックのESGパフォーマンス・スコアにおける各カテゴリーの評価を踏まえて選んでいく。

 

 

(表1)から、パートナー企業10社のESGパフォーマンス・スコア・プラス(EPS+)の平均スコアは58.65で、EPS+を付与している世界約9000社の平均スコアが51.01なので、世界でもサステナビリティのパフォーマンスの優れた企業がサポートしているということがわかる。10社のうちの9社のEPS+が世界平均の51.01を上回っている。

それでは26のサステナビリティ項目について、各社の状況を見ていきたい。EPS+の平均が世界平均を上回っていることから、各カテゴリーの中で優れたパフォーマンスを示している企業があるのではないかと調査したところ、(表2)のように5つのカテゴリーで満点の100の評価を得ている企業があった。

 

 

日本電信電話社は4つのカテゴリーでスコアが100となった。大和ハウス工業と村田製作所も2つのカテゴリーで100のスコアを得ている。このように優れた企業が大阪・関西万博をサポートしていることは心強いことである。特に、同万博が開催される大阪湾の湾岸エリアというロケーションを考えると、「水及び下水管理」のカテゴリーのスコアが100となっている企業が4社あることが特筆される。水の使用や管理、再利用等、これらの企業は通常の事業活動から水の使用を意識した経営をされていると想定されるので、同万博においても、水に関する新たな創造や発信を期待したい。

同じように3社が100のスコアとなったカテゴリーである「気候変動の物理的影響」についても、気候変動対策の新しい発見や発信があるのではないか。100という満点のスコアではないが、優れたパフォーマンスを示しているカテゴリーや、10社の多くが芳しくないスコアのカテゴリーもあり、カテゴリースコアの詳細を見ていくと、多くの気づきや示唆を得ることができる。筆者までご連絡頂ければ詳細等ご説明申し上げる。

パートナー企業が同万博を通じてどのような創造・発信をするのか楽しみに開催を待ちたいと思う。同万博のホスト役となる大阪市、大阪府、そして近隣の自治体、市民の方々は、いわゆる地域コミュニティとして万全を期して臨んで頂きたい。

(アラベスクS-Ray社日本支店代表 雨宮寛)