ESG研究所【ESG投資実態調査2022】(2)「気候変動」はエンゲージメントの必須テーマ

QUICKESG投資実態調査

QUICKエンタープライズサービス開発本部ESG研究所は19日、「ESG投資実態調査2022」を公表した。集計結果の2回目は、ESG投資手法別で最多だった「エンゲージメント」で取り上げるテーマと、気候変動に関連した株主提案の賛否の判断について取り上げる。

《ポイント》
・2022年度に重視している「エンゲージメント」のテーマの首位は「気候変動」(有効回答数の100%。以下、設問ごとの有効回答数に対する割合)、2位は「ダイバーシティ&インクルージョン」(62%)、3位は「人権」(58%)だった。
・気候変動関連の株主提案に対する賛否の判断で考慮するポイントは「株主提案に対応することによる企業へのインパクト」が51%で最も多く、次いで、「気候変動に対する方針、目標設定状況の国内外企業との比較」が47%だった。

2022年度に重視しているエンゲージメントのテーマの首位は「気候変動」だった。回答したすべての組織が挙げており、必須のテーマだと言える。企業統治指針である「コーポレートガバナンス・コード」で東京証券取引所の最上位のプライム市場に上場する会社は「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言」か、それと同等の開示が求められている。企業にとって気候変動対応は避けて通れなくなってきたと言える。

2位は「ダイバーシティ&インクルージョン」であり、機関投資家の「人的資本」や「人材の多様性を含む育成と確保」などに対する関心も高い。3位は「人権」だった。政府が「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」を策定し、企業は事業に関わる人権リスクを調べて対策を講じる「人権デューデリジェンス」の成果を示すことが求められている。機関投資家も企業の対応を促そうと取り組んでいるようだ。

「エンゲージメント」のテーマで首位の気候変動はここ数年、株主総会シーズンに株主提案が話題になった。気候変動関連の株主提案をどのような観点で賛否判断しているのかを尋ねたところ、「株主提案に対応することによる企業へのインパクト」が最多だった。事業内容への制限や財務的な影響などを考慮して判断する機関投資家が多いようだ。

2位は「気候変動に対する方針、目標設定状況の国内外企業との比較」、3位は「株主提案公表後の企業発表や企業との対話内容」で、企業側の対応とその情報発信が問われている。企業が情報開示する際には同業他社との比較可能性も意識する必要がありそうだ。
(3)に続く

 

《調査の概要》
名称:「QUICK ESG投資実態調査2022」
対象:「日本版スチュワードシップ・コード」の受け入れ表明機関もしくは責任投資原則(PRI)署名機関の中から抽出した、日本国内に拠点を置く170の機関投資家
回答組織数:61(うちアセットオーナー13、アセットマネジャー48)
期間:2022年8月22日~10月4日
ESG投資実態調査2022(要約版)はこちら

 

(QUICKエンタープライズサービス開発本部ESG研究所)