ESG研究所【CDPフォレスト2022】花王、不二製油、王子HD、積水ハウスがA評価 QUICK執筆のダイジェスト版レポート公開
2023年02月09日
環境NPO(非営利団体)の英CDPは「気候変動対策」「水セキュリティ(水資源保護)」「フォレスト(森林保全)」の3分野について世界の企業の開示や取り組みを調査して評価したレポートを毎年公開している。QUICK ESG研究所がCDPのパートナーとして執筆した日本の「CDPフォレストレポート2022」のダイジェスト版 が3日、公開された。
フォレストの評価対象の「森林コモディティ」は、木材、パーム油、大豆、畜牛品で、評価はコモディティ別に行われる。企業はリスクと機会、ガバナンス体制、事業戦略、サプライヤーとの協働など幅広い質問への回答が求められ、CDPは「A」から「D-」の8段階でスコアを付けている。
CDPが2022 年に質問書を送付した日本の企業数は272社で、87社が回答した。最高評価のAリストに入った日本企業は花王(木材、パーム油)、不二製油グループ本社(パーム油)、王子ホールディングス(木材)、積水ハウス(木材)の4社だった。
2021年のAリスト企業は花王(木材、パーム油)と不二製油(パーム油)の2社だったが、22年に2社増えた。花王は22年に日本企業で唯一、気候変動対策、水資源保護も含め3分野そろってAリスト入りした。
木材では有効回答の8割強、パーム油では7割近い企業がリスクとともに機会を認識している。機会の要素としては「ブランド価値の向上」を挙げる企業が多い。ガバナンス体制では9割近い企業が取締役会で森林関連の課題を監督している。森林に関する方針を策定している企業は8割を超えた。
QUICKが日本に拠点を置く機関投資家を対象に実施した「QUICK ESG投資実態調査2022」 で重視するエンゲージメント(対話)のテーマを複数回答で尋ねたところ、「森林」は有効回答数の13%、「パーム油」は7%だった。このほか、「生物多様性」が40%、「資源と汚染」は22%、「環境サプライチェーン」は18%で、投資家による森林とその関連分野への関心がうかがえる。企業は森林保全に向けて対策を講じ、情報を開示することが求められている。
(QUICK ESG研究所)
CDPフォレストレポート2022:日本版【ダイジェスト版】 はこちら
「QUICK ESG投資実態調査2022」の概要
・調査対象:「日本版スチュワードシップ・コード」の受け入れ表明機関もしくは責任投資原則(PRI)署名機関の中から抽出した、日本国内に拠点を置く170の機関投資家
・回答組織数:61(うちアセットオーナー13、アセットマネジャー48)
・調査期間:2022年8月22日~10月4日
「QUICK ESG投資実態調査2022(要約版)」はこちら