危機を生き抜く!為替リスクマネジメントの処方箋

ひと口に為替リスクマネジメントと言っても、金融機関か事業法人か、輸出企業か輸入企業か、あるいは業種によって、さらに取引環境によっても対象となるリスクは異なります。「為替相場が変動しても国内の販売先に価格転嫁できるので、為替感応度はゼロ」という輸入企業があります。一方で、「輸出建値が円建てだから、為替リスクはない」とするグローバルニッチトップ企業であっても、ひとたび円高になれば取引相手の採算悪化で販売価格を引き下げざるを得ないこともあります。ほとんどの事業法人は「為替リスクをヘッジしており、投機はしていない」としていますが、その割には為替相場が大きく振れた後の決算発表では「想定外の円高(ないし円安)で減益となった」とのコメントも聞こえてきます。

筆者は金融機関向けのデリバティブビジネスを経て、8年ほど前に独立しました。主に事業法人の為替リスクマネジメントと財務取引コストの削減をメインとするコンサルティング業務に携わっています。ソリューションを考案・提供する場合、金融機関の立場と、金融商品を利用する側とでは見える世界が全く異なること、同じ為替リスクでも金融機関と事業法人とでは根本的に異なることなど日々、勉強の連続です。

今回のコロナ禍を従来の常識をゼロから見直す良い機会と捉え、ポストコロナ禍のあるべき為替リスクマネジメントについて一緒に考えていきましょう。

I n d e x .

Vol.1

新型コロナ禍を踏まえた
為替リスクマネジメントのあり方

Vol.2

新型コロナ禍における
当面の対応とキャンセル取引

Vol.3

長期的な対策
ヘッジ体制の見直しのご提案

Vol.4

中長期の為替リスクマネジメント戦略の具体例

Vol.5

コロナ禍を踏まえての振り返り
 

Vol.6

平時の為替リスクマネジメントと
非常時の財務BCP

QUICKからの情報発信