導入事例

株式会社Looop様のQUICK E-Power Polaris活用術


市場に連動する価格体系の導入でより価格予測が重要に 電力調達コストの適正化と需要家とのコミュニケーション強化に期待

株式会社Looop
電力本部 事業推進部 調達管理課 需給取引チーム
課長代理 増野叶氏
マーケティング部 広報・PR課 課長 兼 再エネ本部 事業管理部 事業管理課
藤原啓介氏

looop

電力業界は2016年4月の電力小売全面自由化以降、多種多様な事業者の参入によって競争が激化し、市場を分析するツールの重要性が高まっている。 QUICK E-Power Polaris」(以下、Polaris)は、日本の電力市場をオールインワンで分析するための情報サービスで、スポット・先物価格に影響を与える発電所の稼働状況、天候などのデータに加え、関連記事も提供している。データはダウンロードすることが可能で、事業会社から新電力会社、ファンド組成運営会社まで幅広くご利用いただいている。 市場連動型の電力小売サービス「Looopでんき」を提供する株式会社Looop(以下、Looop)の増野叶氏、藤原啓介氏にPolarisを導入した背景や狙いなどを聞いた。

ご利用中のサービス
Polaris

価格予測の精度が向上したことを機に導入を決定

LooopがPolarisを導入したのは2022年11月。「QUICKから『Polarisの短期予測の精度が向上した』と案内がありました。ちょうど短期予測に注力したいと考えていた時期です。他社サービスも使っていたのですが、市場価格を把握するには、複数の予測データを見ることが重要だと思ったのが検討のきっかけでした」。

 

電力本部 事業推進部 調達管理課 需給取引チーム 課長代理の増野叶氏はこう話す。

 

需給取引チームは「電力の需要予測や市場からの買い付け」「長期的な電力調達方法の検討」など、電力会社の骨格である需給管理を担当している。増野氏は、リーダーとして5人の需給取引チームをまとめている。

 

「1カ月間の無料トライアルで価格予測の精度向上が認められたので契約しました。画面が見やすく、価格もリーズナブルでした。我々が価格予測サービスで重視するポイントは、エリア別に1日に何回価格が出るかということ。短期のスポット価格は1日でなく、1週間程のデータも欲しい。Polarisは9エリアで各48コマ(30分単位で24時間分)の価格が出る点も魅力でした」(増野氏)。

 

 

Polarisは2023年12月に更にアップデートした。価格予測モデルの変数に「予想気温」「雲量から推定される太陽光発電の出力」「各種燃料データ」を組み込んでいるスポット価格の算出期間を、従来の7日間から最長14日間まで延伸した。

 

「各種燃料データ」「24時間平均気温」など外生変数を利用して算出する長期フォワードカーブの算出期間も、従来の3年先から最長8年先まで拡張した。1コマ30分単位の価格データもダウンロード機能で手軽に取得できる。

 

増野氏は「30分単位で長期予測まで取得できると便利だなと思っていたので、とてもありがたい」と評価する。

 

QUICKのデータだから信頼性が高い

電力本部 事業推進部 調達管理課 需給取引チーム 課長代理 増野叶氏

需給取引を主な業務にしている増野氏にとって、30分ごと・最長8年間の価格予測はどのような価値を持つのか。日々の取引だけでなく、予算計画の策定にも有用だという。「このレベルの期間で情報を提供しているベンダーはまだまだ少ないので、Polarisのデータは貴重です」(増野氏)。

一方、8年先の価格予測データが当たるとは思っていないそうだ。「業界の人なら誰でもそうだと思います。大事なことは、今現在から8年先を見てどんなロジックで予測しているかです。経営層やお客さまへの説明には、継続性がある論理的な根拠が必要です。自分たちで長期の予測データを作るのは簡単ではありません」(増野氏)。

株価や為替のレートでも、8年先の値を正確に予測することは現実的ではない。「説得力」が問われる対外的な説明材料としての予測データにおいて、算出・公表元は重要な要素になるだろう。

増野氏は「日本経済新聞社グループのQUICKのデータであれば信頼性は高い。自社で予測する労力と対外的な納得感を勘案すれば、この業界の多くの企業が『客観性の高いPolarisの価格予測は価値が高い』と判断するのではないでしょうか」と話す。

  

電力の単価が30分ごとに変わることの認知・啓蒙を進める

2022年12月には、電力小売の販売単価を日本卸電力取引所(以下JEPX)のスポット価格に連動した「市場連動型」を導入した。価格体系を市場連動型にしたことは、同社の収益モデルはもちろん、社員の意識も変えることになったという。

 

「社員の多くは、JEPXの価格を意識するようになったと感じています。営業担当もお客さまから聞かれます。需要取引チームは、価格動向などを分析した日次リポートを出して社内に共有しています。データを取ったりグラフを描いたり、ここでもPolarisを活用しています」(増野氏)。

 

同社は市場連動型の価格体系を導入したことで、需要家への認知拡大と理解促進にも積極的に取り組んでいる。同社マーケティング部 広報・PR課 課長の藤原啓介氏は「Looopの電気料金が市場連動型になって30分ごとに価格が変わるプランがあることは、まだまだ認知されていません。公式アプリを使って電力が高い時間帯・安い時間帯を通知でお知らせしたり、お昼の時間帯の電力料金を無料にするキャンペーンを実施したりしています」と説明する。

 

昼の時間帯の電力を無料にするキャンペーンでは、Looopでんきの東京電力エリアの需要が増えたという。「これは大きな効果ですが、お客さまの行動変容として定着するかどうかは今後もデータ収集と分析を進める必要があるでしょう」(藤原氏)。

 

市場リスクを需要家と共有するために解決すべきこと

Looopは2023年9月に系統用の大規模蓄電池事業に本格参入した。再生可能エネルギー発電所などに接続する蓄電池によって蓄えた電力を需要家のニーズに合わせて供給するためのもので、再エネ発電の出力変動やニーズに対応する「調整力」が大きな役割とされている。同社が出資する合同会社taMELは、東京都からの補助金を受けて、2024年度内に本事業の蓄電池建設と運転開始を予定している。

「需給調整市場での価格予測データがあれば使いたいのですが、今はありません。自分たちでやろうとしても、算出・公表するにはいろいろと難しい課題があるようで、そこはQUICKに期待しています」(増野氏)。

蓄電池事業を軌道に乗せるため、電力取引市場の中心であるJEPXのスポット価格予測に加え、調整力を取引する「需給調整市場」の価格予測について開発を希望している。

 

増野氏は、需要家とのコミュニケーションがより重要になると考えている。「価格体系を市場連動型にしたことで、市場における価格変動リスクをお客さまと共有することになりました。今後は価格の動きを正確にお伝えするだけでなく、電気をより賢く・上手に使うノウハウなども提供して、当社から電気を買う付加価値を感じていただくことが課題です」(増野氏)。

より豊富な価格予測データや精度向上、需要家とのコミュニケーションに役立つデータなど、新しい取り組みを進めるLooopにとって、Polarisが貢献できるテーマは多い。

 




株式会社Looop


東日本大震災直後に設立し、再生可能エネルギーを「創る」「コントロールする」「届ける」をワンストップで手掛ける。電力小売サービス「Looopでんき」の顧客数は独立系新電力として最大の約26万件(2023年11月時点)にのぼる。
2023年9月には東京都の系統用大規模蓄電池事業に採択され、2024年度内の建設・運転開始を目指して進めている。また、市場連動型の電気料金プラン「スマートタイムONE」とその公式モバイルアプリは、 2023年度グッドデザイン賞を受賞した。アプリでは30分ごとの電気料金単価や電気代予測などを見ることができ、電気の上手な使い方をサポートする。

会社名
株式会社Looop(ループ)
会社名(英文)
Looop Inc.
資本金
4,094百万円
(資本準備金3,773百万円)
※2021年10月末現在
設立年月
2011年4月
代表者
代表取締役会長 CEO 中村創一郎
代表取締役社長 COO 森田卓巳
株式会社Looopのホームページはこちら


掲載日:2024年2月9日

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