導入事例

株式会社エー・ディー・ワークス様のQUICK Workstation Astra Managerパッケージ活用術

過去3回のライツ・オファリング(新株予約権無償割当)による資金調達を成功させ、投資家や市場関係者、企業経営者らの話題を集めた株式会社エー・ディー・ワークス。最大の特徴は金融機関に頼らず、自社主導で実施した点にある。その過程で「QUICK Workstation Astra Managerパッケージ」(以下、Astra Manager)を大いに活用したという。

今後は、新設のエクイティ・アドバイザリー室を通じ、蓄積したノウハウをビジネスにも生かす。同社の細谷佳津年・常務取締役CFO、内田英雄・総務部総務グループリーダー兼エクイティ・アドバイザリー室にライツ・オファリングの経緯とAstra Managerの活用法を聞いた。

時価総額の50%の資金調達を実現

ライツ・オファリングは増資による資⾦調達の⼀種。ライツ・イシュー、あるいは単にライツ(以下、ライツ)とも呼ばれ、既存株主に対して保有株数に応じた新株予約権を無償で割り当てる。株主は新株を購⼊して持ち株⽐率を維持してもいいし、新株予約権を市場で売却して利益を得てもいい。既存株主にとっては持ち株が希薄化しにくいメリットがあり、欧州では⼀般的な⼿法だが、⽇本で事実上解禁されたのは2009年。エー・ディー・ワークスは2012年10 ⽉に国内では2例⽬となる1回⽬のライツを実施、現在までに国内最多の計3回を実施している。

「今でこそ当社の時価総額は100億円を超えていますが、ライツ実施前は、約10億円。証券会社等に資⾦調達の相談をしてみても、『時価総額が50億円くらいになってからなら』と遠回しに断られる回答が多かったと記憶しています。引受のリスクや⼿間とリターンが⾒合わないということなのでしょう。それなら⾃分たちで資⾦調達を考えよう、と研究したのがライツでした」。

こう語るのは、過去3回のライツを主導した細⾕CFO。1回⽬のライツでは時価総額の50%、5億円を調達した。公募増資による資⾦調達は、引受証券会社のコンセンサスもあり時価総額の20%以内が⼀般的。時価総額の50%相当 の資⾦調達はまさにライツの強みであり、同社の資本・株主戦略と成⻑戦略が奏功した結果といえるだろう。

常務取締役CFO 細⾕佳津年⽒

価格ごとの売り・買いの注文を見てわかった個人投資家の行動特性

細谷CFOは「QUICKのソリューションはよく使っており、不可欠な存在です。QUICK端末(Astra Manager)で自社や同業他社などの株価や板情報(売りと買いの注文状況)を見ていれば、大局的にマーケット感覚をつかむことができます。企業の財務・IR担当者は必要に応じて見るということではなく、時計のようにいつも見えるようにしておくことが大事かもしれません」と独自のQUICK活用法を披露してくれた。

通常、ライツでは新株予約権の行使価額は現物株価よりも割り引いて低めに設定する。低くするほど株主にとって権利行使のインセンティブが大きくなるからだ。一方で、ディスカウントすることで資金調達額が少なくなったり、権利行使日以降の株価が低迷したりする可能性も高まる。このバランスをどのように見極めるか。

同社が3回目のライツで選択したのは、ノンディスカウント型、すなわち「割引率ゼロ」という一見常識破りの設計であった。行使価額はライツ公表日の前日終値(39円)。この設計では、万が一株価がその後下落し行使価額を下回るようなことになったら、株主は行使をする理由が消滅し、資金調達は失敗に終わる。株主と同社がともにメリットを享受するためには、ライツ公表後に株価が上昇していくことが不可欠となる。

「毎⽇ずっとQUICKの画⾯を⾒ていると、⽇経平均株価と当社の株価や板情報が逆に動く傾向がよくあることがわかりました。当社は個⼈投資家の⽐率が⾼い会社です。⽇経平均の騰落を左右する機関投資家とは異なり、株式数が増えてEPS(1株当たり純利益)が減っても必ずしも売却⾏動をとらないのではないか、という仮説を他のいくつかの材料や現象をあわせ鑑みる中で、感じとっていたのです。(細⾕CFO)


同時に、株式新規取得のインセンティブとして、同9⽉の中間配当を「感謝」の意味も込めて1 株当たり1円65銭(利回り約4%)とした。配当性向の⾼さは株主には魅⼒的だろう。⼀⽅で制度信⽤上、ライツ公表後は空売りが規制されることが多く、これも売り圧⼒が⼤きくならない材料だ。果たして、売り板(注⽂)よりも買い板の⽅が厚い(多い)という予想通りの動きになった。

結果として、新株予約権は権利⾏使最終⽇(2017年9⽉12⽇)までに⼀時24円をつけ、現物の株価も41円から最⾼値で57円までじり⾼となった。最終的な資⾦調達額は38 億円、権利を⾏使した株主は44.7%に上った。

株主や構成比率、増資経験の有無などでもソート可能

同社は過去3回のライツで蓄積した経験とノウハウを主に中小企業に提供し、成長を後押しする事業に取り組むべく、エクイティ・アドバイザリー室を設けた。そこで大いに活躍しているのがAstra Managerだ。

実務を担う内田氏は次のように語る。「以前は別のQUICK端末で時価総額100億円以下の企業を抽出していましたが、データの取得期間、取得できる情報などで物足りなさも感じていました。営業担当者に相談したところ、Astra Managerを利用することで解決できると聞き、すぐに導入を決めました」。

総務部総務グループリーダー兼
エクイティ・アドバイザリー室内⽥英雄⽒

特に重宝するのが詳細な株主情報という。「当社のように個人株主の構成比率が高く、時価総額も比較的小さく、かつ成長意欲や資金ニーズがある企業を抽出したい。Astra Managerなら財務諸表のデータはもちろん、株主名簿管理人を含む詳細な株主構成、増資経験の有無、コーポレートアクションなど細かい項目や業種を選んで素早くビジュアル化できます。また、スクリーニング機能を利用して過去の膨大なデータをエクセルに一括で取得して独自に分析できるのも魅力。提案資料の一つとして、ほぼそのまま持参できるのが便利ですね」  (内田氏)。

日本の全上場企業3,658社のうち、時価総額100億円以下は1,266社、全体の約3分の1以上を占めるという(3月31日現在)。細谷常務CFOは「エクイティ・アドバイザリー室は少数精鋭で立ち上げたばかり。高度な企業分析を効率的に遂行しなければなりません。その意味でもAstra Managerがあったからこそ開設できたと考えています」と打ち明ける。

「ライツに関する研究はどこよりも重ねてきた自負があります。当社の代表(田中秀夫代表取締役社長)は常々、『企業は社会の公器である』と述べており、当社の歴史もそれを物語っています。CSV(共有価値の創造)の観点からも、資金調達が難しい企業がもう一段成長するための新たな選択肢として、ライツのノウハウを生かしてほしいのです」(細谷CFO)。

株式会社エー・ディー・ワークス
収益不動産の仕入れ、バリューアップ、販売、そして販売後のプロパティマネジメントや建物の保守・修繕まで、富裕層顧客に向けた一貫した資産コンサルティングサービスを提供する。資金調達と事業戦略を相乗させ、上場以来右肩上がりで成長してきた。この収益不動産を活用したビジネスモデルを基盤に、今後は富裕層に向けた付加価値サービスを展開するビジョンを描いている。

2018年12⽉に完売した「ARISTO京都」


会社名
株式会社エー・ディー・ワークス
会社名(英文)
A.D.Works. Co., Ltd.
上場取引所
東証第一部
株式コード
3250
資本金
3,891百万円
(2018年3月31日現在)
設立年月日
1886年2月
(創業)
決算月
3月
売上高
22,299百万円
(2018年3月期)
社長
田中 秀夫
従業員数
(連結)
146名
(2018年3月31日現在)
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掲載日:2019年4月16日

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