ライツ・オファリングは増資による資⾦調達の⼀種。ライツ・イシュー、あるいは単にライツ(以下、ライツ)とも呼ばれ、既存株主に対して保有株数に応じた新株予約権を無償で割り当てる。株主は新株を購⼊して持ち株⽐率を維持してもいいし、新株予約権を市場で売却して利益を得てもいい。既存株主にとっては持ち株が希薄化しにくいメリットがあり、欧州では⼀般的な⼿法だが、⽇本で事実上解禁されたのは2009年。エー・ディー・ワークスは2012年10 ⽉に国内では2例⽬となる1回⽬のライツを実施、現在までに国内最多の計3回を実施している。
「今でこそ当社の時価総額は100億円を超えていますが、ライツ実施前は、約10億円。証券会社等に資⾦調達の相談をしてみても、『時価総額が50億円くらいになってからなら』と遠回しに断られる回答が多かったと記憶しています。引受のリスクや⼿間とリターンが⾒合わないということなのでしょう。それなら⾃分たちで資⾦調達を考えよう、と研究したのがライツでした」。
こう語るのは、過去3回のライツを主導した細⾕CFO。1回⽬のライツでは時価総額の50%、5億円を調達した。公募増資による資⾦調達は、引受証券会社のコンセンサスもあり時価総額の20%以内が⼀般的。時価総額の50%相当 の資⾦調達はまさにライツの強みであり、同社の資本・株主戦略と成⻑戦略が奏功した結果といえるだろう。