ESGの奔流にただ押し流されないために

「何かしなければ取り残される」――毎日のようにメディアにESG(Environment・環境、Social・社会、Governance・企業統治)という言葉が躍る昨今、企業の方々は焦りを強めているのではないでしょうか。ところがこの分野は、一生懸命に取り組めば取り組むほど悩みが深くなるようです。SDGs(Sustainable Development Goals=国連の掲げる2030年までの長期目標である「持続可能な開発目標」)やESGに始まる、いわゆる「アルファベット・スープ(英文字略称の氾濫)」と格闘しながら、社外の利害関係者に対して的確な情報発信をしなければなりません。そのためには企業内部とも膨大な調整が必要です。経営トップに理解を深めてもらうことは不可欠ですし、連携が必要な部署は増えるばかりです。社外取締役の発言などにも気を使わなければなりません。担当部署は毎日のように飛び込んでくる要対応事項に追われ、早くも疲弊しているのが現実ではないでしょうか。

このコラムでは、そうした関係者の方々に少しでも貢献できるよう、ESGを考えるにあたって是非考慮しておくべき「投資家が知りたいこと」と「企業にとって大切なこと」にフォーカスしてお話していきたいと思っています。企業だけではなく、実は投資家の側もまだまだESGに関しては黎明期です。対話する相手の立場を理解しつつ、自社の経済的価値、社会的価値双方の向上に資するような本質的な取り組みを考えます。三回連続ということで、「E」「S」「G」それぞれを採り上げていく予定です。お楽しみに!

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