一言で言うなら私はこんなアナリスト
マクロな眼と現場情報による理論武装。
両面からの考察がレポートの源泉です
QUICK
企業価値研究所
シニアアナリスト
銀行・機械・マクロ経済
セクター担当
柊 宏ニ
QUICK
企業価値研究所
シニアアナリスト
銀行・機械・マクロ経済
セクター担当
柊 宏ニ
いわゆるコロナ禍によって、景色が一変しました。銀行セクターは、超低金利が続く中で本業での利益拡大が難しく、特に地銀が厳しい状況です。メガバンクも同様ですが、近年進めてきたデジタル投資や店舗・人員削減の効果、アジアなど海外での出資戦略の強化で、地銀に比べれば成長の余地はあると思います。
規模の大小を問わず、企業は今、とにかくキャッシュが欲しい。資金ニーズが急激に高まる中で、これまで希薄になっていた銀行の存在感が増しています。次世代に生き残る企業の選別がより重要になっていくでしょう。
機械セクターは自動化、つまりロボットのニーズが高まっています。アジアでも製造業は3K(きつい・汚い・危険)職種として人手不足が叫ばれており、その代替として期待が集まっています。
ある大手掘削工具メーカーは、2020年4月時点における中国の製造・製作分野の最新動向として「物流部門を除き、既にコロナ禍前の90%くらいまで回復している」と話していました。中国の製造業はいち早く回復基調になりつつあるようです。
銀行セクターでは大きく二つあります。一つは「5~10年という中長期でのアジア戦略」。M&Aや提携など、アジアの成長の果実を取りに行く取り組みが、軌道に乗って伸びているかどうか注目しています。もう一つは「与信費用」です。破綻懸念先が増えると引当金の積み増しが必要になり、当然のことながら収益を圧迫します。この点は、今年5月の本決算発表で大事なテーマになるでしょう。
いずれも大切なことは、四半期に一度は訪問して直接話を聞くこと。銀行のディスクロージャー情報は今、本業の収支(資金収支)が分かりにくくなっているからです。私自身が審査や企業再生などを経験した元銀行マン。直接会って話を聞けば、言い方や言葉のニュアンスで大意を理解できることは大きいですね。
機械セクターも二つ。「月次の受注動向」と「中長期の成長性」です。月次の受注動向は、株価とほぼ連動しています。発表しない事業会社もありますが、ヒアリングで丹念に埋めていきます。特に建設機械では、中国メーカーの品質が向上しており、市場シェアが拡大しつつあります。この変化もヒアリングしながらコツコツ調べていきます。中長期の成長性は、空調機メーカーのダイキン工業が代表例です。同社の中国におけるブランド力は絶大です。室外機1台で複数のエアコンを運転する高付加価値製品のマルチエアコンなどは他社製品より高価で、主な販売地域は経済成長が先行する沿岸部に集中していました。現在は市場が内陸部へ拡大しつつあります。そのスピードと規模は要チェックです。
アナリストとしての私の付加価値は、論理構築のアプローチにあると考えています。具体的には、マクロ経済など全体を俯瞰するトップダウンの視点からの「机上の空論」も大切にしつつ、個別企業の現場の声やデータなどボトムアップの情報を丹念に積み上げていく。トップダウン、ボトムアップの両面からの理論武装、考察の結果をレポートのメインシナリオにしています。従って、IR担当者のご協力によって「現場の声」を聞くことができるのは、非常にありがたいと感じています。
特に、工場見学など「生の物の動き」を直接見聞きできる機会はぜひ増やしていただきたいですね。最近は、ESGに特化したアナリスト説明会を開催するケースが増えてきました。中長期の成長シナリオが鮮明になる好事例です。事業会社の「見せようとする意思」が伝わると、アナリストも成長イメージが描きやすくなるはずです。
こんなところも見ています!?アナリストの5つの本音
一橋大学経済学部卒業後、三和銀行(現三菱UFJ銀行)に入社。支店勤務を経て系列シンクタンクの三和総合研究所(現三菱UFJリサーチ&コンサルティング)に出向、マクロ経済調査などに従事する。
銀行に復職して大企業審査、企業再生などの担当を経て、2006年にQBR(現QUICK企業価値研究所)入社。銀行を中心とした金融セクターの調査に加え、製造業(機械)の調査、投資戦略、マクロ経済調査なども担当する。顧客向けセミナー・研修・勉強会講師の実績多数。
日本証券アナリスト協会検定会員
日本証券アナリスト協会ディスクロージャー研究会 銀行評価実施アナリスト
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掲載日:2020年5月26日