電機・精密・総合重機セクターのアナリストは何をどう見ている?

QUICK企業価値研究所

一言で言うなら私はこんなアナリスト あえて信念を持たずに、自然体で企業を
見るようにしています

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企業価値研究所
シニアアナリスト
電機・精密・総合重機
セクター担当 
谷林 正行

QUICK 企業価値研究所 シニアアナリスト 谷林 正行

電機・精密・総合重機セクターの特徴は?――競争⼒が明確に分かれている

担当セクターをより具体的に⾔うと、⺠⽣エレクトロニクス、精密機器、総合重機、エネルギー・プラント関連などになります。テクノロジーを活かしたモノづくり企業が中⼼です。

⺠⽣エレクトロニクスは、いわば過去の栄光から⼀旦は地に落ちたセクター。これからどう巻き返すか、という点で各社の評価に差がついています。

精密機器は半導体関連がメインになります。本邦の半導体メーカーは世界のトップ5から脱落していますが、半導体製造装置に関してはトップシェアの装置が多々あります。

総合重機はESG投資の⾼まりから、プラスマイナス両⾯でエネルギーに注⽬が集まっています。私がカバーしている⽇本のモノづくり企業は、総じて世界に伍して戦っている企業と守勢にある企業がはっきり分かれていると⾔えます。

企業の何をどう⾒ている?――企業統治が正しく機能しているかどうか

最終的にアナリストが⾒るのは株価です。事業内容や⽅法の⾰新によって業績が向上し、株価に反映されるのが基本的な仕組みですが、そう簡単ではありません。例えばプラント制御機器メーカーは、業績と関係なく原油価格と連動して株価が動くことがあります。経営者の⼈柄や誠実さ、モノ⾔う投資家(株主)がボード⼊りすることで株価が上がることも。アナリストは当該企業を巡るさまざまな事象に⽬を配る必要があります。

最近は時代の要請として、リスク要因としてのESGに注⽬しています。中でも「G(企業統治)」はより重視する傾向です。「社外取締役の意⾒をどれだけ採り⼊れる体制となっているのか」「指名委員会など役員⼈事で外部の⽬を反映させる仕組みとなっているか」などを⾒ます。

企業統治は「横並び」「護送船団」など、⽇本の社会と企業における同質性の問題をはらんでいると思います。これからは技術開発も営業も、もっと合理的に論理で戦う時代になるでしょう。

IR活動へのリクエストやアドバイス――もっと本⾳ベースのコミュニケーションを

企業秘密が多いこのセクターのIR担当者に、⾔えるところ・⾔えないところがあるのは⼗分理解できます。その線引きの難しさもあるでしょう。営業部⾨とのせめぎ合いがあるのも承知しています。しかし、私たちアナリストは、もっと本⾳ベースの話をしたいと思っています。

その思いはお互いに感じ持っているのではないでしょうか。ベテランアナリストになると、その辺りのさじ加減は⼼得ています。臨機応変にご対応いただくことで、アナリストを通じた市場との対話において、さらに新しい付加価値が⽣まれるかもしれません。



こんなところも見ています!?アナリストの5つの本音

  • •ヒアリング時の念押しは、事実関係を正確に把握するため。多⾓的に捉えたいのでご理解を。
  • •マスコミは総じて強気な業界(最近では半導体業界)を厳しく⾒るバイアスがあるようです。報道と実態との乖離があれば、できるだけ具体的な反証を揃えていただきたいと思います。
  • •業績⾒通しにはメッセージが欲しい。単なる⾒通しではなく、何を考えて何をしているのか。
  • •IRの⽬的は株価上昇や認知度アップだけではなく、外部の⾒⽅のフィードバックも重要です。投資家、アナリストの意⾒を活かして企業価値向上に繋げていってほしいと思います。
  • •コーポレートレポート(統合レポート)の中でも、⾃社の強みや弱みなどの軸で評価するSWOT分析は役⽴ちます。
QUICK企業価値研究所 シニアアナリスト 谷林 正⾏

東京⼤学⼯学部反応化学科卒、⼭⼀証券経済研究所⼊社、ベンチャーキャピタル、格付機関、IRコンサルティング会社を経て現在に⾄る。新技術、テーマを中⼼としたレポート作成やベンチャー企業の将来性の判断、財務⾯を中⼼とした企業分析など、過去に携わった業務経験を活かし、さまざまな視点から対象企業を分析することを⼼掛けている。


日本証券アナリスト協会検定会員

日本証券アナリスト協会 ディスクロージャー研究会 電気・精密機器、機械専⾨部会 評価実施アナリスト


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掲載日:2019年9月9日

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