一言で言うなら私はこんなアナリスト
フットワークを軽くして
「現場を見る・現場を感じる」が身上です
QUICK
企業価値研究所
シニアアナリスト
建設・不動産
セクター担当
細貝 広孝
QUICK
企業価値研究所
シニアアナリスト
建設・不動産
セクター担当
細貝 広孝
建設セクターは、2018年3月期に最高益を記録しました。東日本大震災の復興工事から東京五輪開催に向けた関連施設工事やインフラ整備工事、都市大型再開発など旺盛な建設需要が背景にあります。東京五輪開催後は建設需要が落ち込むといった見方もありますが、確かに工事量自体は減るかもしれませんが、建設需要が大きく落ち込むとは見ていません。今後も首都圏や関西エリアなどで多くの都市大型再開発計画が控えているほか、老朽化したインフラの再整備など、大規模な工事も豊富にあると見ています。ただし、工事量が減ることで、受注競争の激化など、今後のゼネコンの利益率低下には懸念があります。
不動産セクターは、オフィスと住宅が大きな柱となっています。
オフィスの需給に関してさまざまな意見があるようですが、私はそう心配していません。オフィスの床面積は毎年増加していますが、一方で首都圏における労働力はシニア層拡大と女性活躍施策などで増加中です。政府が進める「働き方改革」で、1人あたりのオフィス使用面積が増える傾向もあります。
住宅はコスト高に悩まされてきましたが、その原因である人手不足・資材不足は東京五輪開催後には解消される見通しです。今後問われるのは、販売価格を維持するのかボリュームゾーンまで下げるのかという価格戦略でしょう。2025年から本格化する世帯数減少は、懸念材料の一つです。
建設や土木業界は、他の業界に比べて事業が長期にわたります。受注から完成まで数年、公共事業の土木工事などでは10年以上にわたることも珍しくありません。従って、さまざまな先行指標を把握することが成長ストーリーを描く基礎となります。例えば「完成工事粗利益率」の先行指標としての「受注時粗利益率」などです。
整理整頓のレベルや働く人たちの対応など、工事現場や工場によって雰囲気やモチベーションがまったく違います。そのすべてが現場で働く人の誇りや自信を表すと思っています。これらは事故や工期の遅れなどを未然に防ぐ最大の要因とも言えるのではないでしょうか。だから私は極力、現場に足を運ぶようにしています。
前述の通り、先行指標として「受注時粗利益」を知りたいです。しかし、1億円未満の工事から1千億円を超えるような大規模工事まで様々ある中、その数字をそのまま開示するのは難しいかもしれません。その結果として雰囲気で保守的な数字が開示されるケースが多いようです。
そこから正しいと思われる数字を推測するのがアナリストの腕の見せどころなのは確か。しかし、できる範囲でかまわないので実態に近い数字を開示してほしいと思います。
こんなところも見ています!?アナリストの5つの本音
早稲田大学社会科学部卒業後、QUICKに入社。営業本部にてセルサイド・バイサイド向け営業、情報本部にてQUICKのオリジナルコンテンツである「QUICKデリバティブズコメント」プロジェクトの立ち上げなどに携わった後、2003年にQBR(現QUICK企業価値研究所)に出向してアナリスト業務に従事。食品セクター、紙パセクターを担当し、現在は建設・不動産を中心としたセクターを担当。訪問取材に加え、建設現場や住宅・マンション販売の現場、工場などに赴き、「現場の声」を聞き、「現場の温度」を感じながら企業分析・レポート作成に活かしている。
日本証券アナリスト協会検定会員
日本証券アナリスト協会 ディスクロージャー研究会 建設・住宅・不動産専門部会 評価実施アナリスト
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掲載日:2019年6月13日