一言で言うなら私はこんなアナリスト
レポート読者の中心である個人投資家の
利益にかなう情報提供を心がけています
QUICK
企業価値研究所
シニアアナリスト
石油・鉱業および
電力・ガスセクター担当
佐久間 聴
QUICK
企業価値研究所
シニアアナリスト
石油・鉱業および
電力・ガスセクター担当
佐久間 聴
担当セクターのうち、電力とガスは自由化がスタートしたばかりですが、石油は1996年の特定石油製品輸入暫定措置法(特石法)廃止で規制緩和され、現在まで再編が進んでいます。
こうした違いはあるものの、エネルギーセクター全体としては共通した課題があります。人口減少と省エネ・節約の進展によって内需が減退する一方、低炭素化社会の実現に向けた再生可能エネルギーの導入が進んでいることです。足元は原油価格が下落していますが、だからといって石油をたくさん使うようにはならないでしょう。国内のエネルギー需要の減少と再生可能エネルギーの導入拡大という流れは今後も変わりません。
エネルギーセクターは成熟産業です。成長産業なら利益を新たな設備投資などへ積極的に回しますが、内需減退傾向のエネルギーセクターでは利益をどこまで投資に回すかの判断が難しい。その意味でも、株主還元をより厚くしなければならないのではないでしょうか。
エネルギーセクターの戦略や業績は国策に大きく左右されます。各社の取り組みに大きな違いはありませんが、それでも細かい違いや特徴はしっかり見るようにしています。具体的には、我が国のエネルギー需要が減退していくなかで、(1)利益をどう確保するのか (2)低炭素化への取り組みをどう進めるのか――の2点です。
(1)に関しては顧客数や販売動向、コストを含めた収益力などを見極めることが肝要です。多くが内需減退を補うために海外事業を拡大している点にも注目しています。(2)は中長期的な取り組みであり、我が国の政策のあり方とともに動向を見守っていく必要があります。
これら2点の前提として最も重視しているのが各社の株主還元の方針です。電力は安定配当の会社が多く、株主還元を積極化する会社が増えています。「総還元性向60%を基準とする」(純利益の6割を配当と自社株取得に充てる)など、還元の基準を明確に示している会社を特に評価しています。
エネルギーセクターのIRは従来から、総じて高レベルにあるとの印象をもっています。とはいえ、近年は決算発表の早期化や機会増加などにより説明が簡素化する傾向があります。一部には簡潔すぎる会社も見受けられます。発表を鵜呑みにしないでしっかり数値を追うよう、より強く心がけるようになりました。
ここで大事なのはフェアディスクロージャーです。アナリストだけでなく、個人投資家を含めて決算発表時には情報が平等に入手できる環境が改めて大事になっています。
QUICK企業価値研究所のレポートの読者は金融機関の先にいる個人投資家がメインといっていいでしょう。エネルギーセクターの株主は比較的、大口の機関投資家が多いという実情があります。すべての投資家へ機会・時期・質を平等に開示するのはそう簡単ではありませんが、なかには個人投資家を増やしたいと考える会社もあります。そんな会社には特に丁寧に対応していただけるのでありがたいですね。
こんなところも見ています!?アナリストの5つの本音
大学卒業後に証券会社へ入社し、支店で営業職に従事。
その後、QBR(現QUICK企業価値研究所)調査部に転じてアナリスト職に就き、エネルギーセクターを中心に担当。現在に至る。
日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)
日本証券アナリスト協会ディスクロージャー研究会 エネルギー専門部会 評価実施アナリスト
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掲載日:2020年11月17日