一言で言うなら私はこんなアナリスト
色眼鏡をかけずに
見るようにしています
QUICK
企業価値研究所
調査部長
電機・精密セクター担当
豊田 博幸
QUICK
企業価値研究所
調査部長
電機・精密セクター担当
豊田 博幸
電機・精密セクターはこれまで「技術を支える夢のあるセクター」と言われてきました。現在はその認識が変わりつつあります。ハードウエア主体の時代からソフトウエアがより重要視されるようになり、新興国の台頭やデジタル化の進展によって真似されるリスクが高まっているからです。相対的に「突出した技術革新が難しいセクター」になったと言えるでしょう。
中でも大企業にとっては、どのような事業や技術にどの程度の資金を投下するのか、経営判断が難しい時代です。中堅・中小企業では独自性や競争力が突出した最新技術はそう多くなく、自社の強みとして目立ちやすい。
一方、大企業は、そのような技術を沢山抱えています。小説やテレビドラマにあるような大企業 vs 中堅・中小企業という構図は、このセクターではある意味真実なのです。
つまるところアナリストは、利益と株価が長期的に伸びそうな会社を「良い会社」と判断し、そのレポートはポジティブな内容になります。もっと端的に言えば「キャッシュフローがどれだけ増えるか」。アナリストのあらゆる情報収集は、そのヒントを得るためにあります。
例えば、ある企業が画期的な新技術を開発したとします。10年後、20年後に社会を大きく変える可能性を秘めているとアピールされますが、アナリストとしてはそれだけでは評価し辛い。その新技術は収益化までにどのような課題があって、どの程度の時間を要するのか。つまり、足元の業績にどう影響を及ぼすかを知りたいのです。
トップが大局観で技術を語ったとしても、足元の業績までの論理的なストーリーがなければ評価は難しいでしょう。IRを担当される方にはそれを補完していただきたいのです。
まずは中期経営計画(中計)を大切にしましょう。中計は未来へのロードマップであり、社内のコンセンサスの証、社会との約束でもあります。
私の経験では、信頼に足る企業は中計も堅いし、計画とのずれが生じてもその理由が明確で論理的です。明るい話はレポートにしやすい。計画通りに事業が進まなくても、その理由が論理的であれば分析・検証が容易です。
アナリストは企業と市場を冷静かつ公正に見ています。中計をもとにした論理的なストーリーで語っていただくことが、われわれアナリストと企業との信頼関係を築く基礎になっています。
こんなところも見ています!?アナリストの5つの本音
•ハイテク分野は数年前に予想できなかったことが短期間で起きている
だからこそ皆が夢を託せるような理由を
1985年東京証券(現東海東京証券)入社。企業アナリストとして主に自動車、機械など製造業中心に担当したほか、投資情報業務にも従事。営業企画部や経営企画部など経営企画部門も経験。2000年QBR(現QUICK企業価値研究所) に勤務。2011年より調査部長、現在に至る。
「森羅万象、無駄になる情報は無し」を信条に、調査活動に従事する。
日本証券アナリスト協会ディスクロージャー研究会
電気・精密機器専門部会評価実施アナリスト
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掲載日:2019年3月8日