QUICK短観 年末に向けて「国内の消費動向」注視、26年の賃上げは「未定」「前年並み」目立つ【10月調査】

10月の「QUICK短期経済観測調査(QUICK短観)」(調査期間:9月22日~10月2日)では、2025年末に向けて自社の経営環境に影響する要因や、26年の賃上げはどうなりそうかを上場企業に聞きました。

 

今年も残すところ3カ月を切りました。25年末に向けて自社の経営環境に影響する要因として注視している事柄を2つまで選んでもらったところ、最も票を集めたのは「国内の消費動向」(39%)、2番目が「トランプ米政権の関税政策」(32%)でした。「国内の物価動向」(27%)と「為替相場の動向」(21%)が続きました。調査期間中に世間の話題だった「自民党総裁選と次の首相の政策」は17%で5番手でした。

 

QUICK短観は24年12月調査で類似の質問「2025年の経営環境について影響の大きい事柄は何ですか(2つまで選択可)」をしていました。このときも「国内消費」が39%の票を集め首位でしたが、「関税などトランプ米新政権の政策」は12%で低位でした。25年4月にトランプ米大統領が相互関税を発表して以降、国内企業の間でも関心が一気に高まった様子がうかがえます。

 

 

連合の最終集計によると、25年の春季労使交渉での賃上げ率は平均5.25%と、33年ぶり高水準となった24年を上回りました。また都道府県ごとに決める25年度の最低賃金の全国加重平均は過去最大の引き上げ額でした。上場企業に対し、現時点での26年の賃上げ予定について聞いたところ、最多回答は「未定・分からない」(45%)、次が「25年と同水準で賃上げする予定」(35%)でした。

 

QUICK短観は25年1月調査で25年の賃上げ予定を尋ねていました。このときも「未定・分からない」が42%、「24年と同水準で賃上げする予定」が33%と、上位回答の傾向は似ていました。

 

前回と今回で異なるのが、前の年を上回る水準で賃上げしようとする企業の割合です。25年1月調査では「24年より高い水準で賃上げする予定」の企業は7%ありましたが、今回の調査で「25年より高い水準で賃上げする予定」の企業は2%にとどまりました。国内上場企業の26年3月期は6年ぶりの最終減益になる見通しです。人手不足は依然深刻なものの、業績の鈍化が企業の賃上げペースを鈍らせる兆候が出てきたのかもしれません。

 

自由記述のコメントでは、人材採用や離職抑制のために「賃上げは不可欠」「従業員のためにできるだけのことはしたい」との声がある一方、「業界の状況、会社の状況を考えると賃上げは難しい」と本音を吐露する回答者もいました。「(政府には)低所得の人が物価高に苦しめられないようにお願いしたい」といった意見もありました。

 

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調査ご協力に関心がおありの上場企業のご担当者様は、QUICK短観担当<info.survey-tankan@quick.jp>までお気軽にご連絡ください。

 

 

 

掲載日:2025年10月08日

 

 

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