QUICK短観 望ましい非財務情報の開示媒体、「有報一本化」5割強 「二本立て」も36%【9月調査】

9月の「QUICK短期経済観測調査(QUICK短観)」(調査期間:8月26日~9月4日)では、非財務情報開示の流れが強まる中で、企業にとって望ましい開示媒体のあり方を国内上場企業に聞きました。

 

近年、ESG(環境・社会・企業統治)投資の普及などを背景に企業によるサステナビリティ―情報(非財務情報)開示の流れが強まり、その手段も多様化しています。まず1問目では望ましい開示媒体のあり方、具体的には開示先媒体の数や種類について、自社の考えに最も近いものを4つの選択肢から選んでもらいました。

 

その結果、「有価証券報告書に『一本化』」との回答が53%で最多となり、「有価証券報告書と統合報告書の『二本立て』」が36%で続きました。「テーマや目的別のリポート(TCFD、人権、人的資本など)を加えて『多媒体化』」は9%にとどまりました。「その他」が1%でした。およそ9割の企業が非財務情報の開示先は有報を含めて2つまでが適当と考えているようです。

 

 

2問目では、1問目で回答者がそれぞれの選択肢を選んだ理由を尋ねました(複数回答可)。「有報に一本化」を選んだ88社に理由を聞いたところ、「共通の書式で比較可能性が高いから」「開示媒体が少なく作成者や読者の作業負荷が軽いから」と答えた企業がいずれも58%に達しました。「監査や第三者保証が入り情報の信頼性が高いから」が42%で続きました。回答企業の業種別にみると、非製造業では特に「作業負荷が軽いから」に票が入りました。

 

今回の質問全般に関する自由記述コメントでは、非財務情報の開示に伴う企業担当者の負担増を訴える声が多くみられました。「有報への記載が始まったことで担当者の業務負荷が増えており、ほぼ1年冊子作りを行っているような感覚」「リソースに余裕のある大企業は別として、中小企業は情報量が増えれば増えるほど対応が厳しくなる」「(当局は)もう少し計画的に企業への指導ができないものか」--などです。投資家が必要とする情報開示のレベル・形態と、企業が過度な負担なく開示できる体制のすり合わせが求められています。

 

QUICK端末をご利用のお客様や調査回答にご協力いただいた企業様は、無料でリポート全文をご覧いただけます。

 

調査ご協力に関心がおありの上場企業のご担当者様は、QUICK短観担当<info.survey-tankan@quick.jp>までお気軽にご連絡ください。

 

 

 

掲載日:2025年9月19日

 

 

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