QUICK短観 機関投資家との対話に前向き 金利上昇、財務戦略に「変更なし」最多【6月調査】

6月の「QUICK短期経済観測調査(QUICK短観)」(調査期間:6月2~11日)では、機関投資家などからのエンゲージメント(対話)要請への対応や、長期金利上昇が企業の財務戦略に与える影響について聞きました。

 

上場企業の株主総会ピークが近づいています。機関投資家などからのエンゲージメント要請に対して、現状の対応を聞いたところ「必要に応じて柔軟に対応している」が全体の57%で最多となりました。「積極的に対応しており、実務体制も整備済み」の20%と合わせると77%に達し、多くの企業が株主の声に前向きに耳を傾けている姿勢がうかがえます。

 

 

長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りは5月下旬に一時1.570%とほぼ2カ月ぶりの高水準をつけました。30年物国債や40年物国債の利回りは過去最高を更新する場面がありました。金利の上昇が自社の財務戦略にどのような影響を与えるかを聞いたところ(複数回答可)、「金利水準としては低いので調達戦略に変更はない」が延べ回答数のうち22%を占めて最多でした。「借り入れがない、または予定していないため影響は小さい」が19%で続きました。

 

一方、「借入金を減らし利払い負担を抑える」が19%で同率2位。「長期資金の比率を高める」(12%)、「将来必要な資金を前倒しで調達する」(11%)とあわせ、先行きの金利上昇に備えて財務戦略を見直すとする回答も目立ちました。

 

結果的に金利上昇の影響は小さいという趣旨の回答が1位と2位タイに並びましたが、その比率は過去に比べると低下している可能性があります。

 

QUICK短観は23年9月の調査時にも類似の質問をしていました。このときの最多回答は「金利水準としては低いので影響はない」で、回答企業数の67%を占めていました。当時の10年債利回りの水準は0.675%程度でした。

 

23年の調査時と今回とでは集計方法や回答の選択肢が異なるため単純には比較できませんが、企業が足元でじわりと守りを固めようとしている様子も見て取れます。

 

QUICK端末をご利用のお客様や調査回答にご協力いただいた企業様は、無料でリポート全文をご覧いただけます。

 

調査ご協力に関心がおありの上場企業のご担当者様は、QUICK短観担当<info.survey-tankan@quick.jp>までお気軽にご連絡ください。

 

 

 

掲載日:2025年6月17日

 

 

バックナンバーはこちら

QUICKからの情報発信