QUICK短観 株式の最低投資金額、10万円超企業の大半が「分割に慎重」【5月調査】

5月の「QUICK短期経済観測調査(QUICK短観)」(調査期間:5月1~13日)では、株式の最低投資金額の引き下げにどう対応するかや、開示義務が強化される方向にある気候変動やダイバーシティー(多様性)への取り組みについて聞きました。

 

東京証券取引所は若年層の投資家でも少額から日本株を購入できる環境を整えるため、企業に株式分割などを検討するよう促す見込みです。

 

最低投資金額の引き下げへの対応を尋ねる質問に回答した175社のうち、自社株の最低投資金額が10万円程度を上回っているのは4割の70社。その大半にあたる64社が「事務負担などを考慮すると株式分割などには慎重」と答えました。投資金額の引き下げで株主数が大幅に増えると、株主総会関連書類の作成費用や送付の手間などが膨らみます。企業は今のところ引き下げに急いで対応する必要はないと考えているようです。

 

一方、最低投資金額が10万円程度またはそれ以下と答えた93社のうち、92社が「特に対応を考えていない」としました。投資金額をさらに引き下げるため株式分割などを検討するとしたのは1社にとどまりました。

 

 

国内では上場企業による2025年3月期の決算発表が一段落しました。非財務情報の開示義務が強化される方向にあるなかで、各企業の気候変動対応や多様性への取り組み状況についていくつかの項目に分けて質問しました。

 

「温室効果ガス(GHG)排出量の削減に関して目標を設定・公表しているか」との問いに対しては、製造業と非製造業で回答の傾向に差がみられました。製造業では何らかの削減目標を掲げている企業が83%に達し、目標を掲げていない企業は17%にとどまりました。一方、非製造業では目標を掲げている企業と掲げていない企業がほぼ半分ずつとなりました。多くの燃料や電力を消費する製造業の方がGHG排出量削減への意識が高いといえそうです。

 

調査ではこのほかにも、多様なバックグラウンド(国籍、性別、年齢、障がいなど)を持つ人材の積極採用を意識しているかや、管理職に占める女性の比率なども聞いています。

 

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調査ご協力に関心がおありの上場企業のご担当者様は、QUICK短観担当<info.survey-tankan@quick.jp>までお気軽にご連絡ください。

 

 

 

掲載日:2025年5月20日

 

 

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