必要なリスク情報をいち早く収集するFASTALERT 「全リスク情報をカバー」 JX通信社 米重代表に聞く

QUICKは2024年1月から、JX通信社が提供するリスク情報サービス 「FASTALERT(ファストアラート)」の代理販売を始めた。JX通信社の創業者である米重克洋代表に、FASTALERTなどについて聞いた。

JX通信社を設立した背景や思いを教えてください。

「JX通信社は、報道やニュースの現場における課題について、いかにテクノロ ジーを使って解決できるかを目指す会社です。 2008年1月に創業した当初は、現在ほどテクノロジー寄りではありませんでしたが、 根底の問題意識として、報道やニュース領域の大きな課題を解決したいという思いがありました」

「現在はミッションとして『データインテリジェンスの力で豊かで安全な社会 をつくる』を掲げています。簡単に言うと、データの力で速報、あるいは世論調査を含めた報道全体の課題を解決するということになります。JX通信社の強みはデータにあり、データの力で新しいニュースサービスを作ることが事業ドメインです」

「会社として目指す目標は、データを通じて本当にどこで何が起きているかというリスク情報、あるいは世論がどう考えているかということを含めて世の中をデータで明らかにし、より豊かで安全な社会を作ることにあります」

社名の由来

創業した当時、従来のマスメディアに加えて、ウェブやフリーペーパーを含めたクロスメディア展開という流れがあり、日本のクロスメディアの通信社を目指すという意味を込めて「JX通信社」と名付けた。既存の通信社をイメージし、それをテクノロジーで実践しようという思いがある。

FASTALERTが誕生したきっかけや経緯を教えてください。

「一番大きな特長は『オールリスク』をカバーできる点です。例えば、既存のBCP(事業継続計画)サービスでは、大雨と地震の2つの情報をカバーしているが、それ以外の災害、事故、事件といった情報がないものが多いのが実情です。FASTALERTは、SNSからの情報に加え、JX通信社が展開する無料ニュースアプリ『NewsDigest(ニュースダイジェスト)』への投稿なども含めたビッグデータから、どこで何が起きたかという情報を集めています。従って、システム障害といった情報も含めて約100種類のリスク情報をカバーしています。極論すると、どんな事象が発生しても情報を収集できるというところが強みです」

「もう一つは、拠点周辺のリスク情報をいち早く確認することができる点です。FASTALERTの情報源は、ビッグデータですが、取り扱うデータを徐々に拡大しています。ウェブ情報を含め報道機関による未発表の情報であっても、迅速かつ正確に情報を把握できることが重要なポイントになります。例えば、収集したリスク情報を登録した拠点の周辺、あるいは取引のあるサプライヤー周辺などに絞り、その周辺で発生したリスク情報だけをピンポイントで確実に把握することが可能です」

「報道機関や自治体の場合、担当するエリア内で発生した全ての事象の中から報道価値のある情報を抽出するため、エリア単位で情報を収集していることが多いです。しかし、事業会社の場合は、自分たちのビジネスに影響するサプライチェーン(供給網)の継続や拠点への被害、あるいは出張中の従業員の安全確保などが重要視される傾向にあり、報道機関や自治体とはニーズが異なります」

「絞り込みは、鉄道沿線や道路沿道、河川流域などでも可能です。鉄道のトラブルだからと言って鉄道の中だけで起きているとは限りません。鉄道トラブルは物流や人流に影響を及ぼす可能性もあるので、リスク情報を迅速に察知・収集できるFASTALERTをご利用いただきたいと思います」

「雷やゲリラ雷雨など天候の急変は、事業活動に影響を及ぼす可能性があります。 天候の情報をリアルタイムかつ迅速に察知するには、SNSやビックデータからの情報収集が確実だと考えています。FASTALERTの最大の武器は、自然災害から事業活動を守るための情報収集かつ判断ツールになることです」
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FASTALERTの新たな取り組みや今後のビジネス展開を教えてください。

「まずは海外情報のカバー範囲の拡大です。取得可能な事象の種類を増やす一方、ユーザーの拠点周辺で発生した事象をピンポイントでお届けできるようにすることで、利便性を向上させていきたいと考えています。今後は国内外のリスク情報を漏れなく提供し、速報性の向上も強化をしていく予定です」

「FASTALERTの情報源のひとつであるNewsDigestは、ダウンロードが600万件を超えています。SNSの情報には位置情報がないのに対して、NewsDigestは緯度経度レベルで把握できます。現在は国内のみのサービスですが、海外でも同じように展開していく必要があると考えています」
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「JX通信社は絶えずデータソースの拡充を図っています。国・地域によってそれぞれ事情が異なりますが、世界50言語とほぼ全世界の言語をカバーできています。現地語で収集したリスク情報を日本語で、かつ市区町村レベルでお伝えすることが可能です。拠点登録機能でお客様の拠点周辺で発生した事象をピンポイントに近い形でお届けできるようにしていることが強みです」

「FASTALERTでしか取得できない情報をしっかり増やし、ユーザーのリスクに関連する情報をFASTALERTが代わりに正確にお伝えし、サプライチェーンにおけるリスク管理や事業継続の対策を取れるようにすることを目指しています」
PROFILE
米重  克洋(よねしげ  かつひろ)氏
JX通信社 代表取締役。1988年(昭和63年)山口県生まれ。聖光学院高等学校(横浜市)卒業後、学習院大学経済学部在学中の2008年に報道ベンチャーのJX通信社を創業。「報道の機械化」をミッションに、国内の大半のテレビ局や新聞社、政府・自治体に対してAIを活用した事件・災害速報を配信するFASTALERT、600万DL超のニュース速報アプリNewsDigestを開発。他にも、選挙情勢調査の自動化ソリューションの開発や独自の予測、分析を提供するなど、テクノロジーを通じて「ビジネスとジャーナリズムの両立」を目指した事業を手がける。

他にAI防災協議会理事。著書に「シン・情報戦略」(KADOKAWA)

受賞歴:MIT Technology Review「Innovators Under 35」受賞、「Forbes JAPAN 100」選出​​、WIRED Audi INNOVATION AWARD、Business Insider Game Changerグランプリ
※ 本コラムは2024年7月29日のインタビューをもとに作成しています 掲載日:2024年9月10日
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QUICKは2024年1月から、JX通信社が提供するリスク情報サービス 「FASTALERT(ファストアラート)」の代理販売を始めた。JX通信社の創業者である米重克洋代表に、FASTALERTなどについて聞いた。

JX通信社を設立した背景や思いを教えてください。

「JX通信社は、報道やニュースの現場における課題について、いかにテクノロ ジーを使って解決できるかを目指す会社です。 2008年1月に創業した当初は、現在ほどテクノロジー寄りではありませんでしたが、 根底の問題意識として、報道やニュース領域の大きな課題を解決したいという思いがありました」

「現在はミッションとして『データインテリジェンスの力で豊かで安全な社会 をつくる』を掲げています。簡単に言うと、データの力で速報、あるいは世論調査を含めた報道全体の課題を解決するということになります。JX通信社の強みはデータにあり、データの力で新しいニュースサービスを作ることが事業ドメインです」

「会社として目指す目標は、データを通じて本当にどこで何が起きているかというリスク情報、あるいは世論がどう考えているかということを含めて世の中をデータで明らかにし、より豊かで安全な社会を作ることにあります」

社名の由来

創業した当時、従来のマスメディアに加えて、ウェブやフリーペーパーを含めたクロスメディア展開という流れがあり、日本のクロスメディアの通信社を目指すという意味を込めて「JX通信社」と名付けた。既存の通信社をイメージし、それをテクノロジーで実践しようという思いがある。

FASTALERTが誕生したきっかけや経緯を教えてください。

「一番大きな特長は『オールリスク』をカバーできる点です。例えば、既存のBCP(事業継続計画)サービスでは、大雨と地震の2つの情報をカバーしているが、それ以外の災害、事故、事件といった情報がないものが多いのが実情です。FASTALERTは、SNSからの情報に加え、JX通信社が展開する無料ニュースアプリ『NewsDigest(ニュースダイジェスト)』への投稿なども含めたビッグデータから、どこで何が起きたかという情報を集めています。従って、システム障害といった情報も含めて約100種類のリスク情報をカバーしています。極論すると、どんな事象が発生しても情報を収集できるというところが強みです」

「もう一つは、拠点周辺のリスク情報をいち早く確認することができる点です。FASTALERTの情報源は、ビッグデータですが、取り扱うデータを徐々に拡大しています。ウェブ情報を含め報道機関による未発表の情報であっても、迅速かつ正確に情報を把握できることが重要なポイントになります。例えば、収集したリスク情報を登録した拠点の周辺、あるいは取引のあるサプライヤー周辺などに絞り、その周辺で発生したリスク情報だけをピンポイントで確実に把握することが可能です」

「報道機関や自治体の場合、担当するエリア内で発生した全ての事象の中から報道価値のある情報を抽出するため、エリア単位で情報を収集していることが多いです。しかし、事業会社の場合は、自分たちのビジネスに影響するサプライチェーン(供給網)の継続や拠点への被害、あるいは出張中の従業員の安全確保などが重要視される傾向にあり、報道機関や自治体とはニーズが異なります」

「絞り込みは、鉄道沿線や道路沿道、河川流域などでも可能です。鉄道のトラブルだからと言って鉄道の中だけで起きているとは限りません。鉄道トラブルは物流や人流に影響を及ぼす可能性もあるので、リスク情報を迅速に察知・収集できるFASTALERTをご利用いただきたいと思います」

「雷やゲリラ雷雨など天候の急変は、事業活動に影響を及ぼす可能性があります。 天候の情報をリアルタイムかつ迅速に察知するには、SNSやビックデータからの情報収集が確実だと考えています。FASTALERTの最大の武器は、自然災害から事業活動を守るための情報収集かつ判断ツールになることです」
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FASTALERTの新たな取り組みや今後のビジネス展開を教えてください。

「まずは海外情報のカバー範囲の拡大です。取得可能な事象の種類を増やす一方、ユーザーの拠点周辺で発生した事象をピンポイントでお届けできるようにすることで、利便性を向上させていきたいと考えています。今後は国内外のリスク情報を漏れなく提供し、速報性の向上も強化をしていく予定です」

「FASTALERTの情報源のひとつであるNewsDigestは、ダウンロードが600万件を超えています。SNSの情報には位置情報がないのに対して、NewsDigestは緯度経度レベルで把握できます。現在は国内のみのサービスですが、海外でも同じように展開していく必要があると考えています」
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「JX通信社は絶えずデータソースの拡充を図っています。国・地域によってそれぞれ事情が異なりますが、世界50言語とほぼ全世界の言語をカバーできています。現地語で収集したリスク情報を日本語で、かつ市区町村レベルでお伝えすることが可能です。拠点登録機能でお客様の拠点周辺で発生した事象をピンポイントに近い形でお届けできるようにしていることが強みです」

「FASTALERTでしか取得できない情報をしっかり増やし、ユーザーのリスクに関連する情報をFASTALERTが代わりに正確にお伝えし、サプライチェーンにおけるリスク管理や事業継続の対策を取れるようにすることを目指しています」
PROFILE
米重  克洋(よねしげ  かつひろ)氏
JX通信社 代表取締役。1988年(昭和63年)山口県生まれ。聖光学院高等学校(横浜市)卒業後、学習院大学経済学部在学中の2008年に報道ベンチャーのJX通信社を創業。「報道の機械化」をミッションに、国内の大半のテレビ局や新聞社、政府・自治体に対してAIを活用した事件・災害速報を配信するFASTALERT、600万DL超のニュース速報アプリNewsDigestを開発。他にも、選挙情勢調査の自動化ソリューションの開発や独自の予測、分析を提供するなど、テクノロジーを通じて「ビジネスとジャーナリズムの両立」を目指した事業を手がける。

他にAI防災協議会理事。著書に「シン・情報戦略」(KADOKAWA)

受賞歴:MIT Technology Review「Innovators Under 35」受賞、「Forbes JAPAN 100」選出​​、WIRED Audi INNOVATION AWARD、Business Insider Game Changerグランプリ
※ 本コラムは2024年7月29日のインタビューをもとに作成しています 掲載日:2024年9月10日
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