




――リーマン・ショックから約1年。斉藤社長は世界経済の危機は完全に去ってはいないと強調されています。
斉藤 金融市場はだいぶ落ち着いたとはいえ、危機を克服したとは言えません。産業も金融も政府の支援に支えられている部分が大きいからです。市場経済としては非常に不自然な姿です。国依存の「出口」も見えていません。
金融危機の原因の一つは、金融商品の中身が複雑になりすぎ、正確な価格がわからなくなってしまったことです。無理やり格付けを高くしていたローン担保証券や企業の倒産リスクを売買するクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)など、デリバティブ(派生商品)の比重が高くなりすぎました。
派生商品はあくまで現物あってのもの。今後は構成がシンプルで価格形成の透明度の高い現物株式のような商品への回帰が起きると思います。
新しい取引システムである「arrowhead(アローヘッド)」を導入する目的も、一つはフェアプライス(適正な価格)の確保です。東証がETF(上場投資信託)の上場に力を入れるのも、安い手数料で分散投資でき値動きもわかりやすいので、個人投資家向けだと考えたからです。
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斉藤社長の言う東証arrowheadは、来年1月4日からの稼働を予定している次世代売買システム。
注文処理の速度を現在より200倍以上速め、
10ミリ秒以下で注文受付が通知される高速レスポンスが売りだ。
――世界最高水準のarrowheadの稼働で「TOKYO市場」の競争力強化にはずみがつきますね。
斉藤 取引スピードを上げることにどんな意味があるのかとよく聞かれますが、売買が速くなった分だけ、大量の取引を短時間で処理でき、理論的にはよりフェアプライスに近づく可能性が高まります。
取引の情報を1カ所に集め、高速で値段を付けていけば、全体のパイ(市場)が大きくなります。多くの取引の結果付いた値段なので、適正な価格だと評価されやすくなります。世界中の取引所がこぞって高速化しているのは、このためです。
海外では、大手機関投資家などが証券会社を介さず直接、取引所へ売買を発注する「ダイレクト・マーケット・アクセス(DMA)」を行うようになっています。これに対応できる速さや容量を持てない取引所では取引しません。海外勢を呼び込むにはarrowheadは不可欠なのです。

2009年9月29日 日本経済新聞朝刊 証券・金融市場――「元気」を発見!広告特集に掲載